暴落駅ランキング自体には当然ながら港区は出ておらず、それ自体あまり興味はなかったが、なぜか冒頭約2ページはシティタワー品川についてのもの。
「いわば『東京ドリーム』とでも言うべき物件」「個人的に是非買いたい」という業者の声や、モデルルーム10分の見学が1時間待ちだったこと、8月22日に発表された中間倍率では最大68倍がついたことなどが書いてある。
いつの間にか中間倍率が出ていたのか、とシティタワー品川ホームページを見てみると、8月21日午後6時時点での中間倍率が掲載されていた。
見てみると、確かにVタイプの2512号室が68倍になっている。Vタイプは114.27平米と、最も専有面積の広い間取り。シティタワー品川では1戸しかないようだ。これで価格は4,347万円なのだから、人気が集中するのは当然。1戸しかないのだから、5年後以降(それ以前は転売・転貸すると違約金発生)に売るのも容易だろう。それこそ不動産業者が個人的に購入しようとしている可能性もある。
その次に人気があるのはPタイプの612号室で46倍。これも専有面積が109.86平米と100平米を超えており、価格は3,853.5万円、そして同じく1戸しかない。定期借地権とはいえ、どちらも信じられない安値だ。
ただ、それ以外となると、一部で10倍を超す倍率がついているものの、ざっと見た感じで半分程度の倍率が0。もちろんどれも価格は破格に安く、平米単価で30万円台前半〜、坪単価で100万円台前半〜。中間とはいえ倍率0がこれだけ並ぶのだから、実際の人気はどうなのだろう、と少し疑問も残る。
シティタワー品川は唐突に出てきた印象があったが、どうやらそれは自分の情報収集不足だけではなかったようで、AERAの記事には、4月に完成しながら8月まで発表されなかったのは、ワールドシティタワーズ(以下WCT)の売れ行きを気にしてのことか、とある。確かにどちらも分譲は住友不動産。WCTは完成から1年半ほど経つにもかかわらず、未だに物件公式サイトが残り、ブリーズタワーの30戸が販売されている。記事には、WCTの売れ行きは好調で、シティタワー品川の販売はWCTとまったく関係ない、という住友不動産のコメントもあるが、これを好調というのか。
中古相場でも、昨年の今頃WCTは平米単価110万円ほどでチラシがよく入っていたが、最近は90万円台、あるいはそれ以下での売りが目立つ。今はまだ厳しい購入条件が科せられているが、販売から5年経ってシティタワー品川の転売が解禁されれば、一斉に中古物件が出回るのは必至。不動産市況が回復していなければ、シティタワー品川の中古価格にひきずられる形で、WCTに限らずコスモポリス品川やベイクレストタワーなど、周辺マンションも大きく値下がりするだろう。
港区のマンションを所有する身としては人ごとではないが、これから新しく購入する立場からは、今後も安価な定期借地権マンションを港区で開発して欲しい。記事にもあったが、土地所有者が東京都というのは安心感がある。価格はこのぐらい、あとはもっといい立地で、タワーマンション以外。そんなマンションが出てきたら絶対買いたい。