紙面にはマンション名までは載らないため、インターネットで調べてみると、一つは東京シーサウスブランファーレ、もう一つがグランフォルム白金日吉坂。
東京シーサウスブランファーレは、港区港南、つまり海側の埋め立て地に建つタワーマンション。
狭めの部屋はけっこう安く売り出されているけれど、ある程度の広さの住戸になると、坪単価320万円ぐらいはしているもよう。
今回の競売に出ているのは、33階の101.77uの住戸で、売却基準価額が4,970万円(入札自体は3,976万円から可能)。
個人的にはあまり興味のないマンションだが、この価格は安い。
けっこう札が入るのではないか。
もう一方のグランフォルム白金日吉坂というと、白金台駅に近い高台に位置し、八芳園の庭園が見渡せる好立地マンション。
今でも結構な高値で売り出されていて、数日前のチラシでもメゾネットタイプの161.56u住戸(ルーフバルコニーも別途85.07u分あり)が1億7,000万円となっていた。
平成元年4月築、バブル真っ最中のマンションだから、この価格でも分譲時よりはだいぶ安いに違いない。
それが、今回の競売ではなんと6階の170.34u住戸が売却基準価額7,970万円(入札自体は6,376万円から可能)となっている!
分譲価格を大きく下回る価格でしか売れない上に、総戸数15戸しかないマンションだから、数年前までは売り出されることもなかった(水面下で取引されていたのかもしれないが・・・)。
それが競売に出て、しかも平米単価37万円の水準から入札できるのだから、これはすごい。
競売情報のサイトでは、物件詳細がPDFファイルで公開されている。
物件概要だけでなく、間取り図、現地調査時に撮影した室内および建物外観の写真や、そのときの様子なども書かれている。
間取りは3LDKで、北・東・南の三方角部屋。
洗面室の洗面台は2つあるし、トイレが3つ、バスタブも2つある。
トイレが3つは多すぎる気もするけれど、使いやすそうな間取り。
LDは34.3帖と広く、東南向きなので八芳園の敷地がばっちり見えるはず。
ただ、室内写真を見ると、LDには物がたくさん置かれているため、あまり広く見えない。
広い部屋も使い方次第で見え方が全然変わるものだと実感。
さらに、「関係人の陳述等」という欄を見ると、所有者の夫のコメントとして、この602号室は妻所有のマンションで、夫婦と子供一人の三人でくらしている、現在債権者と弁済についての話を進めているので建物内の調査は後日にしてほしい、ということが書いてある。
部屋番号が書かれ、住人の発言から室内の写真までインターネットで公開される。
考えただけでも恐ろしい。
少し前に高輪ザ・レジデンスが競売に出たときは、仲介業者を通じて同じ住戸が売り出されていた。
今回はどうだろう・・・と思って調べてみると、全く同じ階、同じ間取りの住戸が売りに出ていた。
部屋番号も同じなので、確実に競売物件と同一だ。
売り出されている方の情報を見ると、182.82uで1億9,800万円となっている。
少なくとも8月1日からこの価格で出ており、3ヶ月経っても売れないわけだから、このままの価格ではそうそう売れないだろう。
かといって、いくらになるか分からない競売よりは、市場で売却した方が高値で売れるはず。
高輪ザ・レジデンスと同様、競売は取り下げになってしまうかもしれないが、仲介業者経由で価格交渉はかなりできるのではないか。
このマンションを狙っている人はけっこういそうだから、今頃仲介には問い合わせがかなり来ているかもしれない。
しかし、バブル期に建てられたマンションは管理費などが高い。
今回のグランフォルム白金日吉坂物件も、管理費、修繕積立金、駐車場代(使わなくても払わなくてはいけないものと思われる)で月額合計146,760円。
数週間前に売り出された綱町フラットも、管理費などが月額約12万円で、物件価格は非常に割安だが、昨日もチラシが入っていたので、未だに成約していない様子。
中古マンションの売買が活発という話も聞くが、バブル期のマンションに関しては苦戦しているところが多いのではないか。
グランフォルム白金日吉坂 所在地(水色の目印)
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私の友人は、昨年白金台の約3億円の物件を約2億円まで交渉して下げて購入したそうです。
つまり本来の50%も上乗せされて売りに出ているんです。
売主にしろ、仲介業者にしろ、儲けすぎだと思います。
確かに、再度競売情報を見てみたら、どちらも取り下げられていました。
取り下げってことは、債権者が再建を回収したか、回収できる見込みがついたってことですよね?
中古マンションとしては今も売り出されているようなので、売却以外で返済できたってことなんでしょうか。
しかし取り下げには全然気付きませんでした。
ご指摘頂き、ありがとうございます。
やっぱり売却基準価額が安くても、それぐらいにはなっちゃうもんなんですね。
競売で破格の安値で買えたらいいな〜なんて空想したりしますが、現実はそうそう甘くはないですよね。
まあこの広さ・立地なら、1億3,000万円でも十分安いのかもしれませんが・・・。
取り下げになって、実際の売却価額が分からないのが残念です。
おっしゃる通りだと思います。
港区に限らず、都心の不動産は販売価格も、家賃も高すぎると思います。
いずれはもう少し低い価格に収束するのではないかと思いたいですが、一部の超人気物件は高額なまま、今より上がるところもあるかと。
価格が高額なのは、それだけ高額でも買いたい、と思う人がいるからであって、買い手が変わらない限りなかなか下がらないのかなとも思います。
売り主はかなり儲けている人もいると思いますが、マンションの仲介はこのご時世ではかなり厳しいのではないでしょうか。
競争も激しいですし。
数年前にオフィス不動産の仲介で成功したところなんかは本当にウハウハでしょうけど・・・。
債権者はどれだけ回収できるかが問題。
この基準価格より任意売却をチョイスしたのでは。
債権額、債権者は法務局に行き登記簿を取ればすぐにわかります。
競売に入札するときは登記簿を調査することをお勧めします。
なるほど〜。
ということは、債権額が売却基準価額よりも多いということですよね?
グランフォルム白金日吉坂については、築年月もそれなりに経っているので、ローン残高はそう多くないのかと思っていましたが、室内写真を見ると子供はまだそう大きくはなさそうでしたし、比較的最近中古で買われた人なんですかね。
債権額が分かれば、中古市場で買うにしても価格交渉が違ってきそうです。
そのあたりも登記簿を見れば一発で分かるわけで、確かに登記簿は見なければいけないですね。
勉強になります。
ありがとうございました。