全部で16ページの特集、最初にこの1年で都心マンションの価格が下落したこと示すデータを挙げ、続いて販売現場の声をひろい、どんな人が今買っているのか、を分析している。
価格下落を示すデータは、同社発行のSUUMOマガジンに掲載された物件の平米単価を、最寄り駅ごとに2008年と2009年で比較したもの。
その中から、港区の駅を抜き出してみると・・・
六本木 116.2→112.5
麻布十番 94.3→93.7
乃木坂 76.4→69.2
白金高輪 97.4→87.3
(2008年→2009年、単位:万円)
となっている。
その当時売り出されていた物件によって大きく左右されるだろうから、実勢を正しく反映した数値ではないと思うけれど、ある程度正しい傾向なのかもしれない。
麻布十番があまり変動していないことや、白金高輪が大きく下がっていること、乃木坂の平米単価が70万円を割っていることが興味深い。
その後の販売現場の声としては、30〜40代の共働き世帯が多く、必要な人が普通に買っていく、というようなことが挙げられていた。
要は投資目的で購入する人は全然おらず、実需だということらしい。
それが自然というか、あるべき姿のような気がするが、裏返せば2008年ごろまでは投資・投機目的で購入している人が少なからずいたということだろう。
外国人はエンドユーザとしてはさっぱりいなくなったとか、外資系企業に勤める人は一時いなくなったが最近になって持ち直してきた、とも書かれている。
そういえば、以前「4丁目住人さん」から頂いたコメントでも、「ムスメの幼稚園(普通の区立幼稚園)は園児の25%くらいが外国人(もしくはハーフ)だったのですが、リーマンショック以降みんな国に帰ってしまい現在では外国人の子供は昨年の半分くらいになってしまいました」とのことだった。
最近の購入者のその他の特徴として、堅実であることも挙げられている。
資金計画を綿密に立ててくる人、借り入れの方が得であると見極め、手元資金を残して借り入れを多めにする人や、「いくらで貸せますか」と聞く人が増えてきた、というようなことが書いてある。
以前だと、「いくらで貸せますか」ではなく、「いくらで売れますか」と聞かれることが多かったらしい。
買っても損はしない、ということを重視しているようで、それが堅実というイメージに結びついているようだ。
まあ、これも当たり前というか、そうでない方がおかしい。
今後の見通しについては、マンション供給が増える見込みはなく、用地の仕入れが厳しいこともあり、コンパクトタイプが増加する、とのこと。
港区に関しては、既に去年の下半期あたりから新築はコンパクトタイプか、定期借地権のマンションばかり。
それが今年も続くとなると、若い世帯向けのファミリータイプは中古で探すしかない。
一方で売り出す側は安く売ろうとは思わないから、売り物もあまり出なさそう。
結局中古市場はほとんど今年と同じような価格で落ち着くのかな、と思う。
最後に住宅政策に関する民主党のマニフェストが紹介されていたが、その中に「ノンリコースローン(不遡及型ローン)の普及」ということが書いてあった。
こんなことがマニフェストに載っているとは露知らず、驚いた。
借り手にとってはいい話かもしれない。
ノンリコースということは、返済不能になっても、不動産を金融機関に差し出せば残債がゼロになる、ということ。
マンションを売っても借金を返しきれない、ということはなくなる。
投資目的でのマンション購入を後押しするような気もするし、金利は確実に普通の住宅ローンより高いだろうし、(特に郊外のマンションで)ノンリコースローンをつけるのは金融機関にとってリスクが非常に大きいように思う。
それでも、買い手にとっては多少なりともマンションを買いやすくはなる。
賃貸で収益をちゃんと生み出せるマンションに限るとか、条件を厳しめにすれば実現できそうな気がする。
そうなると、供給側もより収益性が高く、質の高いマンションを作ろうとするはず。
新しい時代の節目とも考えられる2010年、住宅ローンでのノンリコースローンが少しずつ普及し始めることを期待する。
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