同誌は去年の同じ時期にもマンション特集を組んでいる(「供給量絞り売れ行きは堅調 注目高級物件ランキング」週刊ダイヤモンド2009年3月7日号 参照)。
ページ数で言うと30ページから71ページまで、40ページ強の特集で、パート1からパート3までに分かれている。
パート1が新築購入編、パート2が中古購入・運用編、パート3が管理&修繕編。
こういう特集では港区のマンションがあまり出てこないこともあるけれど、今回は新築と中古について、港区のマンションが結構出てくる。
まずは新築に関して。
最初に首都圏の新築モデルルームが大変活況であることが紹介され、「市場は飢えた魚のイケス状態」と書かれている。
首都圏の新築マンション供給戸数は3.6万戸で、17年ぶりの4万戸割れと、供給が少なくなっているところに優良物件が出てくると大盛況、ということのようだ。
顧客マインドとしても、今が買い時と考える人が増えていることが紹介されている。
アウトレットマンションなどの存在から、まだまだ価格が下がると考えている層もあるものの、「今後は好条件の物件にお目にかかる機会は少なくなるだろう」とのこと。
続けて、住宅評論家の櫻井幸雄氏の記事で、「回復期の到来を予感させる」と慎重な言い回しながらも消費者心理を巧みにあおるようなことが書かれている。
同氏の新聞、雑誌記事はいつもデベロッパー寄りの内容なので、割り引いて読まなければいけないと思うが、書かれている事実としては「抽選に当たらないと買えない物件が現れた」など、多少興味深いこともある。
ただ、紹介されている事例を見ると、プラウド新宿御苑エンパイアが最高5倍の倍率で完売などと、倍率としては大したことない。
自分が今のマンションを買った時には、最高倍率は10倍をゆうに超えていたし、自分の住戸も最終的には4〜5倍だった。
これは自分のマンションに限らず、都内はどこでも似たような状況だったように思う。
回復期の到来を予感するにはまだ時期尚早ではないか。
何より、首都圏のマンション平均価格は高い水準にあり、デフレ・不況下にあることを考えれば、今後2002年頃の水準を下回るぐらいまで価格が下落しても何ら不思議ではない。
記事に続けて「新築マンション80物件ランキング」という表があり、ここに港区のマンションが出てくる。
まず、1位がプラウド元麻布、そして4位に麻布台パークハウスが入っている。
記事中でも、プラウド元麻布については「建物の骨格ができた時点で工事を中断し、購入者を募る『スケルトンオーダーメード』方式を採用。購入者は日当たりや眺望、騒音の有無などを実地で確認して購入を決め、そこから間取りや設備・仕様をオーダーメードで作り上げる。欧米ではスタンダードな方式だが、日本では初めてのケースとなる」とある。
麻布台パークハウスのような定期借地権物件については、「土地オーナーが好条件の土地を手放したがらない事情もあり、都心の定期借地権方式は今後も増えていきそうな気配である」とだけ書かれている。
櫻井氏も、定借物件についてはあまり良いとは思っていないのかもしれない。
やはり50年等の期間経過後に建物自体が取り壊し、というのは持ち家を手に入れるのとは相反する部分もある。
スクラップアンドビルドではなく、これからは欧米のように修繕しながら長期間住宅を使っていこう、という機運が高まっているように思うが、定借マンションはそれとも逆行している。
期間経過後は賃貸マンションになるとか、何年分か利用権を購入して住み続けられるようにするとか、法改正も含め対応が必要だと思う。
その定借マンションが4位に入っているわけで、このランキング自体、何かの参考になるかというと、かなり微妙。
採点項目と採点基準は載っているが、例えばセキュリティなど「24時間有人管理で夜間3人以上」なら5点というように、非常に具体的・客観的な項目も一部あるものの、モデルルームのワクワク感は「非常にワクワクする」で5点などと、抽象的・主観的な項目が多い。
そして、ランキング上位に入っているのはどれも超大手デベロッパーのものばかり。
このランキングに入っているマンションを検討している人にとっては、採点結果を見ることで新たな気付きがあるかもしれないから、まったく無意味ではないだろうけれど、順位付けにはあまり意味を見いだせない。
櫻井氏が懇意にしているデベロッパーランキングかな、などと勘ぐってしまう。
去年の週刊ダイヤモンドでも同氏が記事を書いており、そこでもやはり都心再開発マンションは堅調な売れ行き、などと色々ポジティブなことが書かれている。
今年もまた同じように低調なまま1年が経つような気がしてならない。
今の状況を見ていて連想するのが、「魔の94年物件」(「検証 首都圏マンション『魔の94年』物件の下落率」 週刊朝日2003年8月1日号 参照)。
1994年は、バブル崩壊から数年経ち、マンション市場も91年、92年と価格が下落していたところに、大量のマンション供給と低金利が重なり、今が買い時だという雰囲気があったようだ。
ところが、実際はその後2002年頃までマンション価格は下がり続け、「魔の94年物件」などと言われるようになってしまった。
今はずっと低金利が続いているし、バブルの程度も違うので、その当時と同じように今後推移するとは限らないが、今の状況は92年頃と似ているようにも思う。
そうすると、来年、再来年あたりに供給が増えてきたとしても、そこが買い時とならない可能性もある。
逆に将来金利が急上昇する可能性もあるから、長期固定でも低金利でローンを組める今が買い時とも考えられる。
結局、必要な時が買い時ということなのだろう。
そういって頂けるととても嬉しいです。
素人ですので勉強不足な部分も多々あると思いますが、素人なりの視点から書いていければと思っています。
皆様のコメントからも勉強させて頂きたいと思っていますので、何かお気づきのことや情報などありましたら、ぜひまたコメントを頂ければと思います。