■■■ブログ内検索■■■

2010年06月15日

「売れ筋マンション最新動向&40物件格付け」週刊ダイヤモンド2010年6月19日号

昨日発売の週刊ダイヤモンド] の第二特集は、久しぶりにマンション関連。
メインの特集ではないということで、ページ数は10ページと多くないが、港区のマンションについても少し言及されていた。

  


記事は大きく3部構成になっていて、最初にマンション市況の動向・全体感、次に首都圏と関西のマンション40物件について項目ごとに採点・順位付けした一覧表、最後が住宅資金贈与の特例の活用術。
港区のマンションが出てくるのは最初の2部。



第1部、マンション市場の動向としては、即日完売物件(即完マンション)が増えてきたことから、マンション市場に勢いが出てきたことを紹介しつつ、即完マンションが都心エリアでは少ないことや、値引物件に代表される「負け組マンション」もあり、「2年前とは完全に状況が変わっている」としている。

また、最近の購入者は駅近物件や環境にめぐまれた良質なマンション、「血統書付きマンション」を求め、それに対して供給されているマンションも「粒ぞろい」で「選りすぐりの立地、造りの”極上”マンション」であるとのこと。

そして、あわてて購入に走るのはいけないとしながらも、「あわてずに物件を品定めし、『ここに住みたい』と思える物件を探すこと。(中略)運よく、そんな物件に巡り合ったら、ちゅうちょなく購入を決めてよい。そういう時期なのである」と結んでいる。

「ちゅうちょなく購入を決めてよい」とはずいぶん大胆な表現な気もするが、ある意味当たり前のことを書いているだけ。
即完物件が増えているのは確かに市況の回復を示しているが、紹介されている「主な即日完売物件」の中には、「第1期第2次10戸が即日完売」しただけのマンションもある。
毎度の事ながら、以前よりマシになった程度の市況を若干誇張して良く見せ、消費者の購入意欲を煽っているような印象を、最初の数ページを読んだだけで受けてしまう。

第2部の「40物件格付け」の記事を見ると、さらに違和感を感じる。
例えば、完成後時間が経ってから販売されるマンション(「竣工売り」)について、「購入者にとっては現物を見て買えるメリットがある」とメリットだけを書いている。
なぜ完成してから販売するのか、事情はそれぞれ違うにせよ、途中で資金繰りが危うくなったとかであれば、その影響が施工に出ている可能性だって考えられる。
そういったデメリット、リスクについては一切書かれていない。
竣工売りの具体例として「ザ・ヒルトップタワー高輪台」の名前も出ているが、実物を見れるから良い、という単純な話ではないはずだ。

そして格付け結果が最も驚きで、最高得点を取っているのは「THE ROPPONGI TOKYO」。
合計点が89.0点で、2位の79.5点を大きく引き離すダントツのトップになっている。
記事本文では、「好立地だが、注目したいのはここではない」「上層階のプレミア住戸は発想の先進性で群を抜く。(中略)窓は、床面より下から立ち上がり、宙に浮いている感覚が得られる」「加えて、従来の水準を大きく超えるサービスも備えられている」「ハードとソフト、多くの部分で常識を打ち破る、世界に誇れるマンション」、さらには「価格は驚くほどは高くなく、むしろ割安ではないかと思われる」とまで書かれている。
モデルルームは面白そうだが、それにしても100uが1億4,400万円〜1億9,800万円なのに「割安」とは・・・。
記事を書いているのは誰かと思えば、やはり元リクルートの櫻井幸雄氏
同氏の記事はいつも供給側を持ち上げる内容だが、今回はちょっとやりすぎではないかと思う。

逆にザ・ヒルトップタワー高輪台は、今回のランキングで東京12物件中9位と下位。
個人的には、THE ROPPONGI TOKYO CLUB RESIDENCEよりはザ・ヒルトップタワー高輪台の方がまだ良いような気がするが・・・。
ザ・ヒルトップタワー高輪台の売り主には総合地所が入っているが、12物件中最下位も総合地所のマンション。
逆に上位は三井、住友、野村などばかり。
これは偶然、あるいは大手は優れたマンションを作るので、結果的にそうなっているだけ、なのだろうか。

  

採点結果も甚だ疑問で、例えば「騒音・異臭」という項目は、THE ROPPONGI TOKYOザ・ヒルトップタワー高輪台は共に3.5点。
どう考えてもTHE ROPPONGI TOKYOの方が騒音・異臭はひどいはず。
また、その他の項目を見ても専有部分に関する項目が多く、「間取りの工夫」「個性的な間取り」と、同じような項目が複数あったり、「モデルルームのワクワク感」「満足感」という項目もあり、それらでTHE ROPPONGI TOKYOは軒並み高得点となっている。

今年の3月6日号の週刊ダイヤモンドでも、マンション特集で同氏が記事を執筆し、今回同様「新築マンション80物件ランキング」を掲載しているが、そこで1位で紹介されているプラウド元麻布は、フタを開けてみれば即日完売どころか、今も先着順販売が続いていて、販売戸数は総戸数32戸に対して10戸もある。
今回のランキングで1位とされたTHE ROPPONGI TOKYOも、立地と価格がネックでなかなか順調にはいかない気がする。

この六本木の高層マンションがランキングの1位として雑誌で紹介されてしまう状況自体が、色々な意味でマンション市場の不振ぶりを表している気がして、記事を読みながら考え込んでしまった。
saru_usagiをフォローしましょう
posted by さるうさぎ at 21:08 | Comment(7) | TrackBack(0) | 雑誌記事・その他 |edit
この記事へのコメント
分譲マンションの管理組合の難しさを生々しく描いた
小説があります。反面教師として読むと面白いですよ。

「全壊判定」 朝日新聞出版
Posted by 理事長はつらいよ at 2010年06月23日 17:39
理事長はつらいよさん、初めまして。コメントありがとうございます。

『全壊判定』、面白そうな小説ですね。
まったく知りませんでした。
これはぜひ読んでみたいと思います。
Posted by さるうさぎ at 2010年06月23日 23:21
さるうさぎさん、こんにちは

自分もこの記事読みました(立ち読みですけど)
相変わらず櫻井氏はヨイショ記事でしたねぇ(笑)
この人はもはやマンション界の山○益○氏みたいですね・・・・

ところで今日6月28日公告開始の競売で
あの麻布霞町パークマンションが競売に出ています
35坪で最低価格は8288万円
この価格で取れるわけないけど安いですね
いくらで落札されるか注目です
Posted by 麻布賃貸 at 2010年06月28日 11:28
麻布賃貸さん、こんにちは。コメント&情報ありがとうございます。

私も今朝新聞で競売情報は見ていたのですが、全然気がつきませんでした。
最寄り駅が品川として出ていたグランブルー高輪アドニスの方にばかり目が行ってしまっていたようで・・・。

これはいくらになるんでしょうねぇ。
しかし麻布霞町パークマンションが競売に出るというのは、やはり景気が上向いているとは言え、まだまだ不況なんだなと実感しますね。
Posted by さるうさぎ at 2010年06月28日 22:26
いつも適切にマンション状況を把握しておられる数少ないブログなので見させていただきております。
私もマンションを探しているところですが、週刊誌情報は丸のみせずに、じっくりと探していきたいと思います。
これからも見にきます。
Posted by マンション購入探検家 1年生 at 2010年07月07日 21:34
マンション購入探検家1年生さん、コメントありがとうございます。
(先にもう一つ後に頂いたコメントの方に返信してしまいました。)

お褒めの言葉を頂き、ありがとうございます。
素人ですので色々とおかしなことも書いているかと思いますが、引き続き港区のマンションについて所感など書いていきたいと思っています。

ぜひまた見に来て下さい。
よろしくお願いします。
Posted by さるうさぎ at 2010年07月08日 21:58
理事長はつらいよさん、遅ればせながら、コメントでご紹介頂いた『全壊判定』読みました。
本当に面白いですね。
一気に読んでしまいました。

実際に地震で建物が損傷したらこんな感じなんだろうなと思わせる、リアリティある内容で大変興味深く、勉強になりました。

大変良い本をご紹介頂き、ありがとうございました。
Posted by さるうさぎ at 2010年07月29日 19:39
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック