表紙の見出しは「マンション・ゼネコン完全解明」。
2008年10月4日号の表紙が「不動産・ゼネコン マンション大激震!」、2009年10月10日号が「差し迫る構造大転換!マンションゼネコン不動産」であることを考えると、今回は非常に穏便な見出しとなっている。
特集記事は次のように始まっている。
東京・港区内の2億3000万円台のマンションが即日完売―――。新築物件の勢いのよさを象徴する動きかと思えば、さにあらず。底打ちはしたかもしれないが、本格回復というイメージにはほど遠い。それがマンション市場の現状だ。
好調なのは都心部だけであり、それも減税や金利優遇などの政策と、2009年の首都圏マンション供給戸数が17年ぶりに4万戸を下回る(約3.6万戸)低水準だったことの反動が大きい、というのが、本格回復にほど遠い理由のようだ。
都心部の好調ぶりから、記事内には「都心再回帰で始まったマンション市場の底入れ」といった見出しもあるが、同時に「マンション市場の底打ちは本物か?」という見出しのインタビュー記事も出ている。
底を打ったように見えるが、この先どうなるかは極めて不透明、といった印象を受ける。
新築マンション市況全体感のあと、「マンション価格で見たライバル沿線人気対決」、戸建て、中古マンションと記事は続き、「貸しても売っても損しない駅」という、駅別に新築・中古の平均価格や、賃貸に出したら何年で回収できるか(マンションPER)をまとめた一覧表が出ている。
港区の駅に関しては、次の5駅が載っている。
(価格の単位は万円、いずれも70u換算とのこと)
駅名 | 新築価格 | 中古価格 | 新築PER | 中古とのPER差 | 月額賃料 |
---|---|---|---|---|---|
浜松町 | 7,668 | 5,659 | 23.63 | 6.19 | 270,437 |
白金高輪 | 8,436 | 6,432 | 25.87 | 6.14 | 271,775 |
赤坂 | 10,469 | 7,210 | 26.99 | 8.40 | 323,223 |
麻布十番 | 8,987 | 6,548 | 24.46 | 6.64 | 306,194 |
六本木 | 13,110 | 7,291 | 33.36 | 14.81 | 327,486 |
こうして見ると、六本木だけ際だって収益性が悪く、新築と中古の差が大きい。
特に住みやすいわけではなく、むしろ普通に住む分には環境として良くない場所なだけに、この結果にもうなずける。
しかし、それ以外の4駅についても、新築PERは軒並み20台半ばか、それ以上。
利回りにすると4%台以下ということになる。
この利回りはちょっと低すぎるのではないか。
もっとも、この表で「新築価格」として出ているのは、例えば麻布十番なら三井と住友のタワーマンションだろうけれど、「月額賃料」は中古も含めた賃料相場だから、今新築タワーを買って賃貸に出せば、賃料はもっと高いはず。 マンション新築価格を回収するまでの賃料を平均したとしても、もっと高いだろう。 従って、実際の新築PERはもう少し低いとは思う。 ただ、それにしても新築マンション価格は高すぎる。
せめてこの表でのPERは20、利回り5%程度になるべきではないか。
例えば、この表の白金高輪の賃料に対し、PERが20になるように新築マンション価格を計算すると、6,490万円となる。
これぐらいなら、高すぎるという感じはしない。
日本では長期にわたってデフレが続き、物価が下落しているというのに、マンション価格については10年前と比べてもほとんど変わっておらず、むしろ上がっている。
戸建ての需要が減り、マンションの需要が増えているとか、単身者が増えて世帯数が増えているといった要因があるにしても、もうちょっと下がってしかるべき、というか下がって欲しい。
あるいは、値崩れリスクが低い分だけ、
PERが上がってしまうのもやむをえないと思います。
感覚的にも、多少PERが高くても港区に住みたい、
あるいは、港区の物件であれば将来性への不安が小さい
と感じるのが相場を形成する大衆の心理かと思います。
でも、PERの点からお得さを追求するのであれば、
他のエリアのほうが魅力的なのでしょうね。
確かに。
PERが高いということは、他地域と比べて、マンションを「借りる」ニーズよりも、「所有する」ニーズの方が強いということなわけで、それは単に「港区に住みたい」というニーズの強さだけでなく、やはり値下がりリスクが低い(と思われている)ということなんでしょうね。
ただ、値下がりしにくいと思われているから値下がりしない、というのは、ある意味バブルみたいなものですよね。
一度値下がりし始めたら、下落も早いような気もします。
まあ、もうちょっと下がって欲しいな、と私が思っているだけなんですが・・・。