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2010年09月28日

「大都市地価 夜明け前 有力鑑定士188人が語る変化の兆し」日経ヴェリタス2010年9月26日号

日経ヴェリタス最新号(2010年9月26日号)では、一面から不動産特集が数ページに渡って組まれていた。
「週刊投資金融情報紙」ということなので、オフィス物件や、REITについての記事も含まれるが、マンションについても取り上げられていて、その中でも港区に関する興味深い情報もあった。

  



オフィスに関しては、外資系ファンドが「日本の不動産はそろそろ買い」と考え始めたとか、品川でオフィス3棟まとめて1,000億円規模の案件があるといったことが書かれている。
「アジアや国内富裕層のお金が流れ込み、5億〜10億円規模の物件は品薄感が強い」という不動産鑑定士のコメントも紹介されている。
オフィスに関しては勉強不足で、空室率が高止まりしている程度にしか思っていなかったので、ちょっと意外だった。

そして2ページ目に、マンションについて書かれている。
プラウドシティ池袋が完売したとか、2010年1〜8月の首都圏マンション新規契約戸数は、前年同期比で38%増の2万3,888戸といったことが紹介され、その原因としてマンション価格の下落(マンション用地の価格低下)、贈与税の非課税枠拡大や、住宅金融支援機構のフラット35Sの金利優遇といった政策が挙げられている。
ここまでは他でも良く目にする内容だ。

港区に関して言及されているのはそのすぐ後。
引用すると、「東京では海外の投資マネーも流入、1戸1億円を超える高級マンションの売買も復活している。大手不動産会社が分譲した赤坂の物件では『アジア系の富裕層が20戸近く購入した』(シービー・リチャードエリス)」とのこと。

赤坂のマンションで、大手不動産会社が分譲していて、20戸近くの戸数が買えるとなると、赤坂タワーレジデンスTop of the Hillか、パークコート赤坂ザ・タワーだろうか。
局地的な動きかとは思うが、これにはちょっと驚いた。
以前も週刊エコノミストで、ある港南地区のマンションでは購入者の1割以上が外国人で、特に中国系外国人は1戸購入した後その親類縁者が続々と集まってくると報じられていた今回の日経ヴェリタスに書かれているのも、同じような動きなのかもしれない。

記事ではその後もいくつか不動産鑑定士のコメントが紹介されているが、「マンションは今が一番安いのではないか」というコメントまである。
少なくとも過去と比べれば、2003年頃は今よりずっと安かったから、今が一番安いというのはあたらないと思うけど、今後を考えたときに今が一番安い、つまり底だということだろうか。
江東区の鑑定士ということなので、江東区周辺に関してのコメントなのかもしれない。

また、不動産鑑定士へのアンケート集計結果も載っていて、去年の調査結果と比較されている。
その内容も興味深く、まずマンション購入のタイミングが「今すぐ」と答えた鑑定士は去年がわずか5%だったのに、今回調査では15%と大幅に増えている。
「半年以内」も11%から13%と増え、全体の半数強は「今すぐ」「半年以内」「1年以内」のいずれかを選んでいる。
一方で、「購入しない方が良い」と回答した人も前回調査の16%から18%に微増している。
鑑定士の中でも意見が分かれている、ということか。

その後のページでも、東京23区の地価は今年1月頃から横ばいかやや上昇していて、マンション市況は10年ぶりぐらいの活況を呈しているというようなコメントがある一方、三友アプレイザル社長のコメントでは、現在は東京一極集中の傾向があるが、長期的には人口が減り、労働者の数が減れば都市部に住む意義は薄れ、歴史的に見ても住宅地の地価上昇が3年続いたことは一度もないとか、今後の価格上昇に懐疑的とも取れるようなことが書かれている。

個人的には、短期的には都心部で好調が続くかもしれないが、長期的にはやはり価格は下落すると思う。

理由の一つは、1994年頃と似ているということ。
具体的には、数年前にマンション価格が上がり、それがリーマンショックでプチバブルが崩壊、そして今回復基調といった今回の流れが、何となく1994年頃と同じように見える。

その頃は自分もまだ子供なので、当時の状況をよく知っているわけではないけれど、7年前の週刊朝日の記事では、「魔の94年物件」として、買い時とされた1994年分譲のマンションが、その後大きく値を下げ続けた、というようなことが書いてある。
マンション価格が上がった後に下落し、その後で供給増と低金利が重なったという点で、今と極めてよく似た状況であり、今後も同じようにずるずると価格が下がってもおかしくはない。

また、2000年代前半にマンションを色々検討・購入した身としては、今のマンション価格でもまだまだ高く感じる。
景気が良いともとても思えない。
人口は減少が始まっている。
今が好調だとしても、低金利や減税といった政策、そして今が買い時だという報道によって支えられた、もろい動きなんじゃないかと、改めて感じた。

  
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posted by さるうさぎ at 21:23 | Comment(2) | TrackBack(0) | 雑誌記事・その他 |edit
この記事へのコメント
こんにちは

2003年が底だったというのは確かにその通りなのですが
実際安かったのは湾岸地区のタワーマンションです。
いまでこそ都心にタワーでなければマンションにあらずという風潮がありますが、2003年ごろ元工業地帯に住居を買うことにはに懐疑的だった人も多く、土地の売り手も弱気、また湾岸タワーという商品市場成熟していなかったせいか、デベも弱気だったという要因が大きいのではないかと思っています。それにタワーマンションは分譲数も多いので統計
的に見ると全体が安かったように見えるのでしょうね。

もっとも買い替えの人は一次取得とはまた違った判断が必要ですね。
新築が安いときには中古も安くなります。自宅がいくらで売れるかは
それこそ数百万単位でぶれます。

よいなと思える物件が見つかり、かつ自宅が適切な価格で売れ、
ファイナンスがきちんとつく。これを同じタイミングで訪れるのは
稀でしょう。賃貸に出すというのもありますが港区といえども15万
以上の物件はかなり苦戦しているみたいでです。
入っても1年くらいで退去しちゃうみたいです(友人大家談)

うちはもうじきローンが終わるので買い増ししたいのですが25万以上の家賃を払える人が激減しているので、自宅を賃貸に出すというEXITは実現困難かと考え直しております。
Posted by 四丁目住民 at 2010年09月29日 10:27
四丁目住民さん、こんにちは。コメントありがとうございます。

確かに2003年頃の湾岸マンションは今よりずっと安かったですね。
タワーマンションも、今よりは安かったです。

でもその他のマンション(例えば私の住んでいるマンション)も、分譲時の価格水準は今の新築マンションよりも安いですし、中古で出てくるのは今でも分譲時より1〜2割前後高いものばかりに見えます。
なので、どうしても今の価格水準は高く見えてしまいますし、今が買い時とは思えないのです。

ただおっしゃる通り、買いかえ・住み替えとなると色々考えなければならず、難しいですよね。
私も以前までは、今のマンションを賃貸に出して新しいマンションを購入、と考えていましたが、売却して買い替えもありかも、と少しずつ考え始めています。

あまり賃貸の状況は調べていなかったので、15万円以上の物件が苦戦しているとは知りませんでした。
私のところも、自分と同じタイプの部屋が20万円弱で貸し出されているのですが、数年前と比べると賃料が1割弱下落しているようで、やはり背景にはそういった厳しい状況があるのでしょうね。

とりあえず自分は、今すぐは良い物件があったとしても資金的に厳しいので、まずはそのあたりの体制を整え、その間に買うならどの地域・どのマンションが良いかを見定めておこう、と気長に考えています。
Posted by さるうさぎ at 2010年09月29日 21:27
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