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2011年02月27日

野村不動産が白金台マンションとクラウン白金台を建て替え(日経新聞2011年2月22日朝刊)

火曜日の日経新聞朝刊の首都圏経済面に、「マンション2棟共同建て替え」という見出しの記事が出ていた。
どこのことかと思って見てみると、東京・白金台とある。
白金台マンション(築41年)とクラウン白金台(築28年)というマンションを共に取り壊し、一棟の新しいマンションを作るということらしい。



この建て替えにより、現在2棟合計で総戸数98戸が190戸となり、そのうち108戸を新たに販売することで建て替え費を捻出するとのこと。
土地取得費、解体費、建設費を合わせると100億円越えプロジェクトと書いてあるが、新たに増える住戸の販売と、修繕積立金でかなりの部分まかなえるのではないだろうか。

それにしても、白金台マンションもクラウン白金台も、売りに出ているのはあまり聞いたことがない。
もっと前から建て替えの話をしているだろうから、所有者も市場で売ろうとはしないのだろう。

地図で場所を調べてみると、白金台マンションは桜田通り沿い、高輪台駅から北側(白金高輪駅側)に徒歩3分の場所で、クラウン白金台はその西側隣地にある。
近くにお店などはあまりないけれど、スーパーなどが多い白金台駅も徒歩圏なので、不便というほどではないかもしれない。
ただ、白金台に行くには坂を通るので、歩くのは距離以上に大変。

共同の建て替えにすることで、敷地面積は約1,600uになるそうで、同じく高輪台駅が最寄りのザ・ヒルトップタワー高輪台(敷地面積2209.44u)より少し狭い。
その敷地に、公開空き地を作ることで超高層マンションを建設できるようにする(詳しく知らないが、公開空き地とセットだとタワーマンションが建てやすい制度があり、港区のタワーマンションはどこも公開空き地がある)ということで、新しくできるマンションは34階建てになる、と記事は報じている。

今でも高輪台駅から白金高輪駅、麻布十番駅まで、ほぼ一直線上にタワーマンションがいくつも建っているが、これでまたタワーマンションが一棟増えることになる。
建て替えの話がうまくまとまったということで非常に良い話、特に2つのマンションが共同で建て替わるということで画期的な話だけれど、タワーマンションになってしまうのが個人的にはちょっと残念なところ。

総戸数を増やすことで費用を捻出せざるを得ないために、今回の場合は高層化がもっとも現実的な選択肢なんだろうけれど、タワーマンションが老朽化してきたときにはどう建て替えるのだろう。
昔のマンションよりは実際の耐用年数もはるかに伸びているだろうから、まだまだ先の話だけれど、地震大国である以上、ヨーロッパのように何百年も同じ建物を使うことは(特に超高層では)できないと思う。
かといって、規模を拡大せずに(高層化せずに)建て替えるには、現状では莫大な積立金が必要。
国や自治体の政策に頼るのも難しいだろうから、何らかの技術革新で、安価に建物の安全性を維持・回復できるようにするしかないのかな、と思う。

今回の建て替え計画についてインターネットで調べてみると、2008年には計画がある程度まとまっていて、2009年後半の着工を目指すことになっていた、という情報もあった。
日経新聞記事によれば、完成は2014年予定。
建て替えに向けて合意を取り、計画をまとめるには5年から10年かかるとも本で読んだことがあるが、今回の件も2000年頃から話し合いが始まっているのかもしれない。
建て替えに向けて動き出し、完成するまでにはずいぶん時間がかかるものだと実感した。
こんなに時間がかかっては、増えた住戸がいくらで売れるかも、計画時点ではさっぱり予想がつかない。
本当に建て替えは難しい。

それにしても、今回のプロジェクトを手がける野村不動産は、最近都心部のマンションで存在感が高まっている気がする。
新宿御苑のマンション建て替えも手がけているし、同社のホームページには現在進行中の建て替え事業が6つあり、そのうち一つは港区の「三田建替えプロジェクト」(シャトー三田のことか?)。 今回の件も、同社がどのようなマンションに建て替えるのか、プロジェクトを成功させられるのか、今後も注目したい。

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posted by さるうさぎ at 23:08 | Comment(4) | TrackBack(0) | 雑誌記事・その他 |edit
この記事へのコメント
検討者にとって、「大規模修繕」が訴求力では「新築」に太刀打ちできないからには
どんなオーナーでも(建て替えられる可能性があるなら)
建物の維持・回復よりは建て替えして価値の飛躍的な向上を望むでしょう。
これは都市計画上の是非というよりは損得の問題ですね。

ご指摘の通り、タワーマンションの建て替えは現時点では不可能に近い
(建てるのと同じくらい費用がかかるため)ですから、
タワーに建て替わって数十年後の展望までは誰にも分かりませんね。
著しい技術革新によって、現在の数十分の一程度の費用で
建て替えが可能にならないとも限りません。

もっとも、それよりも確実に人口減少が進んでしまいますから
建て替えされた新築を買おうとするパイがどの程度いるのか、という話も別の問題として残ります。
安全上の問題より、むしろ建て替え後のニーズの有無によって、
建て替え可否が左右されるのが今後の流れではないでしょうか。
Posted by 投資家志望 at 2011年02月28日 16:13
投資家志望さん、こんばんは。コメントありがとうございます。

確かに、資産価値を最大化するという観点では、安価に建て替えるのが一番ですよね。
安価に建て替えるためには戸数を増やし、増えた住戸を誰かが買ってくれる必要があるので、ニーズがあるかどうかが根本的な必要要件なんでしょうね。

でも、それだとおっしゃるように人口減少を迎えるにあたり、ごく一部の地域・マンションでしか建て替えができず、その他はただただ老朽化していくだけになってしまうわけで、そこも含めてどうにかしないと、マンション全体の価値が下がってしまうような気がします。
(ニーズと戸数を増やす余裕がない限り建て替えができないとなると、持続可能性がないので、いつか破綻してしまうように思います。)

今はニーズの有無、容積率で建て替え可否が決まっているような状況ですが、どこかで転換しなければいけないんじゃないかなと思います。
具体的にどうすればいいかというと、全然分からないですが・・・。
Posted by さるうさぎ at 2011年03月01日 19:30
さるうさぎさん、

ワタクシもこの記事は興味を持ってみておりました。老朽化したマンションの建替えは急務ですよね。ここの場所の用途区分は商業地域なので、このようなタワーマンションを建てることが比較的容易に出来るのでしょうが、高さ制限などがある第一種低層や中高層であると、かなり容積率にも制限が出てくるので、余剰分の部屋を販売して建設費用に充てることが難しくなるんじゃないかと思います。総合設計制度などもありますけどね・・・・
Posted by さくらっち at 2011年03月08日 11:56
さくらっちさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

なるほど、土地の用途区分が何かは、建て替えの可否に大きく関ってくるんですね。
いずれは老朽化マンションだらけになって、容積率も大幅に緩和されたりするのかもしれませんね。
でもやっぱり規模を拡大するにも限度があるし、人口減少は確実と言われているし、結局大多数のマンションはにっちもさっちもいかず、壊れて住めなくなるまでそのまま、なんてことになるんじゃないかと思ってしまいます。。。
Posted by さるうさぎ at 2011年03月08日 23:01
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