三菱地所レジデンスが手がける新築マンションだが、予告広告としては珍しく、予定販売価格帯が記載されている。
狭い住戸ばかりなので注目していなかったが、土地権利が面白いので、今さらながらチラシやホームページを見てみた。
【概要】
規模としては、総戸数103戸(うち事業協力者住戸15戸)ということなので、今の感覚からすれば中規模といったところだろうか。
完成予定は平成24年の2月下旬、入居は同3月下旬ということで、約1年後。
販売開始が今年の3月中旬ということだから、ずいぶん直前に予告広告が来ていたことになる。
専有面積は44.18u〜64.52uであり、最近流行のコンパクトマンションといった感じ。
予定販売価格帯は、4,300万円台〜8,300万円台。
その他にもチラシには間取り図が4種類掲載されていて、それぞれに4階住戸と10階住戸の予定販売価格帯が書かれている。
予告広告の段階で、ここまで細かく価格を記載しているものはあまり目にしたことがない。
建物は地上13階建て、施工は東急建設。
変わっているのは土地の権利形態で、物件概要には「専有面積割合による賃借権の準共有、一部所有権の共有」とある。
一部が借地権ということだが、その借地権は定期借地権ではなく、「普通借地権・借地期間:一斉引渡日より50年(満了した場合は、30年間毎に更新)」となっている。
定期借地権だと、期間満了時の借地権更新はなく、建物を取り壊す必要があるが、この普通借地権なら、いつまでも借地権を更新し続けることも可能。
借地権が設定された土地の持ち主は天徳寺のようで、土地の賃料も比較的安めに設定され、今後いきなり上がることもないだろう、という識者のレポート記事もあった。
【立地】
東京メトロ日比谷線の神谷町から徒歩3分、都営三田線の御成門から徒歩8分という立地。
神谷町と言えばテレビ東京やホテルオークラがあり、その他は城山ガーデンなどオフィス街のイメージ。
御成門も慈恵医大病院がある他はオフィス街。
ザ・パークハウス愛宕虎ノ門から見て、神谷町駅の反対側にスーパーのマルエツプチ(旧ポロロッカ)があるが、他はコンビニは多いものの、商店の類はあまりないと思う。
ザ・パークハウス愛宕虎ノ門のあたりは、23区内の天然の山で一番高いと言われる愛宕山のあたりで、高台ではある。
台風や地震による津波があっても、水がつかないから、そういった面での安心感はある。
慈恵医大病院が近くにあるのも安心。
【間取り】
ホームページ上で全ての間取り図が公開されているが、どれもオーソドックスというか、普通な形をしていて、三角形のリビングとかそういうのはない。
全体的に使いやすそうだが、少し気になるのは55Eタイプの主寝室が、4〜9階ではサービスルームとなっていること。
陽が全然当たらないということなのか、窓がないのか分からないが、いずれにしても9階以下は室内が暗いということだろう。
【設備など】
先に挙げたレポート記事では、「ドア・収納扉は突き板仕様」でグレードが高いというようなことも書かれている。
床暖房の範囲がLDのみだし、港区のマンションとして特別グレードが高い、という感じはしないが、ディスポーザー、天井カセットエアコン、トイレにシンクがついているなど、おさえるべきところはしっかりしているという感じ。
【周辺相場】
近くには三井のパークコート虎ノ門愛宕タワーがあるが、分譲時は坪単価530万円だったようで、ザ・パークハウス愛宕虎ノ門より5割ほど高い。
前掲のレポート記事では、土地賃料は50年でも600万円程度だから、それを考えても安く、「この優位性を訴えきれれば早期完売は間違いない」と書いている。
【所感】
周辺のタワーマンションに比べて安いのは事実であるが、それらが分譲されたのはいわゆるプチバブルの頃。
そもそも、このあたりは日常生活を送るのにすごく便利、という場所ではない。
また、間取りもファミリータイプではなく、単身世帯かDINKS向け。
超都心部なので、職住近接を実現するために平日はここに住み、週末は郊外の広い家で過ごす、といった人たちをターゲットにしているものと思われるが、そういった人たちがどのくらいいるのか、よく分からない。
今回の大震災で、東京では帰宅難民が300万人にもなったというから、今後また大きな地震があっても帰れるようにと、都心部で狭くてもいいから買いたいと思う人は増えるようにも思う。
投資用に購入しようという人は一時的には減るだろうけれど、今回の地震はザ・パークハウス愛宕虎ノ門にとっては追い風となるかもしれない。
ただ、今は麻布や高輪、赤坂や青山など、色々な場所でコンパクトタイプのマンションが次々分譲されている。
そういったところと比べると、土地が借地権で、将来賃料が変動するリスク、借地権を更新できないリスクなどがあるし、立地面での優位性があるともあまり思えない。
そもそも、土地権利が一部借地権というのはけっこう大きなことだと思うが、チラシはおろか、資料請求で送られてきた資料を見ても、小さな字で書かれた物件概要欄以外には土地権利について説明した箇所がない。
まるで隠しているかのようで、あまり好印象ではない。
第一期の販売も即日完売ではなく、「先着順受付中」というチラシがつい数日前にきていた。
早期に完売、というほど好調にはならない気がする。
ザ・パークハウス愛宕虎ノ門 所在地(中央水色の目印)
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