「貴方が南麻布の森を手に入れたら」という見出しで、「フランス大使館跡地『南麻布プロジェクト』商品企画アンケート」と書かれている。
午後には郵送でも同じものが送られてきた。
売主は三井物産で、野村不動産が売主・販売代理。
封筒の中には冊子が入っているが、ほとんどがアンケートの質問項目で、物件そのものについては地図が書かれているだけ。
物件概要的な情報はないのかと思ったら、挨拶状の裏面に書かれていた。
8階建て(建築基準法上は地上7階地下1階)で総戸数88戸、専有面積は68.84u〜192.55uというから、それなりの規模だ。
建物完成時期は書かれていないが、入居予定時期は平成25年8月下旬となっている。
フランス大使館跡地ということで、敷地権利が気になるところだが、やはり所有権ではなく、転借地権となっている。
転借地権というのは聞き慣れないが、要は又貸しされて借りるということらしい。
フランス共和国が日本政府から土地を借りて、この南麻布プロジェクトはフランス政府から土地を借りるのかと思ったが、フランス大使館のホームページを見ると、フランス大使館の敷地はフランス大使館が1972年に好条件で取得した、と書いてある。
インターネットで調べてみると、2007年11月に日経不動産マーケット情報のニュースで、次のように報じられていた。
野村不動産と三井物産は、港区南麻布4丁目のフランス大使館の敷地で高級マンションを建設する。2社がフランス大使館の建て替えと竣工後15年間の施設管理を手がける対価として、大使館の敷地の一部をフランス政府から借地する。そのうえで、50年の一般定期借地権付マンションとして分譲する計画だ。2010年2月に着工し、2012年3月に完成する予定となっている。
実際には完成予定時期も1年以上後だろうし、規模についても同記事では総戸数50〜60戸、1戸あたりの面積は160u〜200u程度を予定、となっているから、超高額億ションの計画からは少しグレードダウンしているのかもしれない。
肝心の敷地についても変更があったのかもしれないが、詳細は書かれていないのでよく分からない。
アンケートの内容は、どういう設備があると良いか、どういうサービスがあると良いか、セキュリティ面や警備はどうあるべきか、南麻布についてどう思うか、といった内容で、選択式と自由記述式あわせて15問。
驚いたことに、アンケート回答者には全員に商品券1,000円分をプレゼントするようだ。
どのくらいの地域に日経便として配布しているのかは分からないが、相当お金をかけているに違いない。
商品企画のアンケートとはなっているけれど、「個人情報の利用目的」を見ると「営業活動を行うため」と明記されており、個人情報および連絡許可の取得に他ならない。
東日本大震災、原発事故の影響で高額マンションが不調なので、必死なのだろう。
アンケートの「ご予算」欄を見ると、選択肢は〜6,000万円、〜8,000万円で始まり、その後は1億円から5億円越までがかなり細かく区分されている。
両社が想定している顧客がどのくらいの層なのかが見て取れる。
野村不動産なら、手持ちの顧客リストにも資産家がたくさんいそうなものだが、これだけお金をかけて個人情報を取ると言うことは、既存の上顧客の反応は芳しくなかったとも考えられる。
フランス大使館跡地というと、なんだかすごく良い場所のようにも聞こえるが、首都高にも近く、南麻布の中でもはずれの方。
富裕層にとっては少し魅力に乏しい気がする。
大使館に隣接していることをリスクと考える人もいるはず。
最寄り駅の広尾駅からも徒歩7分と少し離れていて、都バスやちいバスのバス停は割と近くにあるけれど、交通の便が良いというわけでもない。
買い物をするにしても、庶民的なスーパーは肉のハナマサぐらいで、あまり使い勝手は良くない。
サラリーマン家庭が住むとなると、やや不便にさえ感じてしまう。
他にはない魅力を挙げるとすると、フランス大使館の庭園、そして近くの有栖川宮記念公園と、緑が多いことだろう。
しかし、それだけで高額のマンション、それも敷地が所有権でないものを買おうとする人がどれだけいるのだろうか。
先の記事では、事業費は約200億円となっているが、単純に総戸数88戸で割ると相当な額になる。
自分にとっては金額的にまったく縁のないマンションだけれど、作るなら高級賃貸にすべきで、借地権の億ションというのは時代錯誤では、と思ってしまう。
南麻布プロジェクト 完成予定地(中央緑の目印)
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2012年1月10日 マンション名が正式に「プラウド南麻布」になったことをうけ、記事タイトルを変更
タグ:新築マンション
建築計画では(仮称)プラウド南麻布、となっているんですね。
全然知りませんでした。
お知らせ頂き、ありがとうございます。
なぜ今回の資料では「南麻布プロジェクト」となっているのか疑問ですが、あまりに売れなさそうで、プラウドの名を冠するのに社内で反対意見が出てきた・・・というのは考えすぎですかね?
それにしても、麻布台パークハウスや広尾ガーデンフォレストなど、けっこう苦戦しているように思いますが、次から次へと借地権の高級マンションが出てきますね。
このプロジェクトは、フランス大使館立て直しの際から、計画されていましたね。
確かに地図上だけで見ると、首都高近い・・?
はなまさ・・?
とかしか、確認できませんが・・
地元として言わしてもらいますと、フランス大使館のゲスト正門こそ、南麻布の中で、最上級の地点と認識しております。
<首都高にも近く>というのは、莫大な敷地の為、明治通りまで土地が広がっている結果、首都高にも近いという事だけです。
今回の、マンションの位置は、その中でも最高の場所です。
多分、どのマンションもかなわないはずですよ笑
コメントありがとうございます。
立地については、このあたりにすごく詳しいわけではないので、ちょっとトンチンカンなことを書いていたらスミマセン。
掲示板を見ても、このマンションの立地は南麻布でも最高だ、というコメントを見かけたので、そうなのかなとも思いましたが、やっぱり住むならもっと高台で公園寄りの方が良いんじゃないか、路線価を見ても公園よりの方が高いようだし、と思っていたところです。
何となく、このあたり一帯は散歩しても微妙な緊張感を感じる気がするので、私個人があまり良いイメージを持っていない、ということもあるのかもしれません。
今度改めて見てみたいと思います。