2LDK 95u 7,000万円という見出しもある。
二つ折りになったチラシを開いて中を見てみると、「信託受益権売買」という文字が目に飛び込んできた。
こんなチラシは今まで見たことがない。
ヴィラフォンターナ白金高輪というマンション名も聞いたことがないので、朝食の用意も忘れてチラシに見入ってしまった。
【概要】
チラシには4戸の間取り図と価格が掲載されている。
いずれも「信託受益権売買」と赤字で書かれていることから、売主はおそらく法人なのだろう。
以前雑誌で読んだ不動産ファンドの記事でも信託受益権が出てきたから、今回もどこかの不動産ファンドがヴィラフォンターナ白金高輪を信託会社に信託譲渡し、賃貸に出して得られる収益の信託受益権をそのファンド(の子会社の特別目的会社、SPC)が持っているのだろう。
「信託受益権売買」ということで、単純に信託受益権を買っても、物件の所有権は信託会社(おそらくどこか信託銀行)が持ったままになってしまうが、そこのところはちゃんとチラシの隅に「本件売買においては信託受益権の権利移転と同時に信託契約を解除し、不動産を所有権にて所有して頂きます。それに係わる費用は売主の負担にて行います。」と書かれている。
ただ、その注釈よりも大きな字で、「本金融商品取引契約は、不動産を主な財産として運用(処分を含む)される信託受益権を売買するもので、その内容を十分に理解する必要があります。」ともあり、またチラシ裏面には一面全体を使って「不動産信託受益権取引のご説明」「金融商品取引に関する苦情受付および紛争解決について」「金融商品販売にかかる勧誘方針」といった見出しと共に、各種リスク(損失が生ずるおそれに関する事項)などが書かれている。
こんなチラシでは、普通の人は不安感を持ってしまい、なかなか買おうという気にならない気がする。
不動産ファンドが信託契約を解除し、所有権を自社(あるいはSPC)に戻した上で販売すれば良い気がするが、そうしないのはローンが残っていて、そのローンに質権が付いている(信託契約の場合は、ローンに抵当権ではなく質権が付くらしい)ため、自社所有にすると質権を抵当権に変更するのに手間とコストがかかるから、ということなのかもしれない。
物件概要欄を見ると、ヴィラフォンターナ白金高輪の築年月は昭和62年11月となっている。
築後24年経っていることから、最初から信託していて今もローンが残っているとは考えにくい。
不動産ファンドに勢いのあった6,7年前ぐらいに、どこかのファンドが買ったのかもしれない、などと色々考えてしまった。
総戸数は6戸で、今回販売戸数は4戸ということなので、チラシに載っているのが販売戸数のすべてということになる。
6階建てで、チラシにもあるが1フロア1住戸のようだ。
専有面積は95.5u〜239.00u、販売価格は7,000万円〜1億7,500万円となっている。
こう見ると100u台の間取りもあるように見えるが、今回売り出されているのは95.5u住戸以外すべて200u越住戸で、1億円台。
管理費は月額23,000円〜57,000円、修繕積立金は19,000円〜49,000円。
戸数が少ないのでやはり管理費などは高い。
ただし駐車場は平置きで月2万円と、かなり安い(95.5u住戸には使用権がなく、それ以外の3住戸に使用権があるもよう)。
【立地】
住所は港区高輪2丁目2番19号、最寄り駅は白金高輪駅で徒歩7分、泉岳寺駅も徒歩8分となっている。
第一京浜と桜田通りの間の高台を通る二本榎木通り沿いで、高松宮邸のすぐ近く。
高輪中学・高校と東海大高輪キャンパスに挟まれたような場所で、そのほかにもお寺や神社の多いところなので、環境としては非常に良いと思う。
平日も土日も人が多くなく、かといって人が全然いないわけでもなく、ほどよく落ち着いた感じで個人的には好きなエリア。
駅からは少し離れているが、都営バス、港区のコミュニティバス「ちいバス」のバス停はすぐそばにあり、品川・田町には割とすぐいける(品川は徒歩でも十分いける)。
平日夜11時までやっている大丸ピーコック伊皿子店まで歩いて4分ほどだし、その反対側に行けば24時間営業のスーパーリンコスもあり、買い物の便も悪くはない。
二本榎木通りには大福がおいしい松島屋や、お豆腐屋さん、おいしいパン屋(ブーランジェリー セイジアサクラ)などもある。
【間取り】
95.50u住戸は(102号室)2LDKの間取り。
1階住戸ではあるが、周囲よりも1.6メートルほど高くプライバシーが守られている、とチラシには書いてある。
東南側にテラス(約10u)と専用庭(約48u)がある。
北西・南西・東南の三方角部屋で、LDが18.8帖、主寝室が13帖、もう一つの寝室が5.9帖、キッチンが6帖。
主寝室は他の部屋との間にクローゼットがあり、プライバシーへの配慮がなされている。
使いやすそうな間取りではあるが、キッチンが玄関から一番遠いところに配置されているのは、重たい買い物の時などちょっとつらいかもしれない。
ただ、そこさえ気にしなければ、間取りとしてはなかなか良いように思う。
洗面室の洗面台は1つしかないが、浴室に窓があったり、トイレにも洗面台がついているなど、築後24年とは思えないほどの仕様。
システムキッチンはドイツのpoggenpohl社製、食洗機はドイツのMiele社製、オーブンレンジもドイツのBauknecht社製とのこと。
残り3住戸は、239.00uが2戸と、202.01uが1戸。
239uの方は、片方(201号室)が1億4,500万円で、もう片方(301号室)が1億7,500万円。
301号室はリフォーム済みとあるので、その分と階の違いが3,000万円の価格差だと思われる。
どちらも4LDK+WICだが、間取り図は少し異なり、201号室は2バスルーム3トイレ(うち2つはバスルーム内)、洗面台はトイレのも含めると5つあり、キッチンが16.4帖もあるのに対し、301号室は浴室の一つが取り払われて部屋になっていて、もう片方の浴室もトイレ・洗面との間が仕切られている。
キッチンも13.2帖と小さくなり、その分LDが42.8帖と非常に広い。
どちらも四方角部屋で日当たり・風通しは良さそう。
401号室は、201・301号室に比べると少し狭いものの、40u近いと思われるルーフバルコニーがある。
チラシによると「JAXSON社製のジャグジーバスを置き、ウッドデッキを敷き詰めた非日常的な空間」とのこと。
3LDKで2バスルーム・2トイレ。
201・301号室は、食洗機などの設備がほとんどアメリカ製。
401号室はアメリカ・フランス・ドイツ製が入り交じっている。
【周辺相場】
付近は分譲マンションが多くあるが、価格はさまざま。
ヴィラフォンターナ白金高輪の北東側、高松宮邸の敷地の一部だったところに建つクラッシィハウス高輪は、不動産ミニバブル期に分譲されたこともあり、78.30uで1億2,400万円、175.41uで3億4,100万円と、今からすると信じられないほど高額だった。
そのすぐ目の前に建つ高輪ホームズは、昭和45年築で、2008年3月に146.52uが9,980万円で売り出されていた。
北西側、天神坂沿いにはヴィラフォンターナ白金高輪同様、元は賃貸マンションで後に分譲されたコートヒルズ高輪(旧名称:パシフィックレジデンス高輪)があり、平成15年1月築で、86.18uが8.380万円だった。
その隣には1年半ほど前に完成したウェリス高輪があり、今でも総戸数51戸のうち6戸が売れ残っている。
最近値下げされ、たとえば128.63u住戸は、元の販売価格2億2,480万円から1億9,800万円と2,680万円値下げされたが、それから1ヶ月以上経っても売れていない。
最上階の132.62u住戸に至っては、2億7,980万円という価格で販売している。
【所感】
立地、間取りともなかなか良いように思う。
昭和62年築にしては価格がちょっと高いような気もするが、専用庭があったり、大型住戸であることを考えると高くはないのかもしれない。
セキュリティ面も、オートロックに加え、エレベータはノンタッチシステムによる停止制御装置付きなど、安心感がありそう。
元々賃貸マンションだったということで、修繕積立基金にどのくらい積み立てられているのか、管理の状況はどうなのかといったところは少し気になる。
資産価値算出が難しいだろうから、住宅ローンの審査が通るのかよく分からないし、そもそも信託受益権の売買に住宅ローンが組めるのか?もよく分からない。
気にはなるが、ちょっと手を出しづらい。
ヴィラフォンターナ白金高輪 所在地(中央紫の目印)
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