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2012年07月11日

「今こそ買いたい!マンション戸建て」週刊東洋経済 2012年7月14日号

今週発売された週刊東洋経済2012年7月14日号は、毎年恒例のマンション特集号だった。
タイトルは「今こそ買いたい!マンション戸建て」、まるでどこかの不動産業者がDMで送ってくる資料の見出しのようだ。
過去数年の同誌のマンション特集の見出しを並べてみると、

「売り方買い方が変わった!マンション・不動産」週刊東洋経済 2011年10月29日号
「不動産投資減退。どうなるマンション・地価」週刊東洋経済2011年3月26日号
「マンション・ゼネコン完全解明」週刊東洋経済2010/9/4号
「新築マンション価格の『底値』はこうなる!」 週刊東洋経済 2009年10/10号
「不動産・ゼネコン マンション大激震!」週刊東洋経済2008年10月4日号

という感じで、ここまで露骨にマンション・戸建ての購入を勧めるような見出しは近年ない。
うがった見方をすれば、出版不況で特に雑誌が厳しい状況下で、不動産業界から何らかの見返りを得るためにそのような見出しにしたとも考えられるが、過去6〜7年に限った中では今が一番買い時だなとは自分も思うので、東洋経済新報社として自信を持ってマンション・戸建ての購入を勧めているのかもしれない。

  

今が買い時な理由として、次のようなことが挙げられている。

・消費税増税前であること(増税はまだ先だと思っていても、引き渡し時が2014年4月以降だと増税対象なので要注意)
・住宅ローン減税が来年になると縮小されたり、住宅金融支援機構のフラット35Sエコプランが今年10月に終了見込みであるなど各種優遇策が今年は充実していること(この点については日経新聞で新しい優遇策を検討する動きがあることが報じられてはいる)
・金利が超低水準であること
・マンション価格が現時点では抑制傾向にあること
・東北の復興需要で建築資材や人件費が高騰しており、今後マンション価格も上がる可能性があること

確かにこれだけ条件がそろうと、今が買い時、という気もしてくる。
ただ、中古ではなかなか良い物件が出てこないし、新築で魅力的なところは価格も破格に高かったりして、なかなか簡単にはいかないところ。
港区について何か情報はないかと記事を読んでみたが、特集記事の中で一番最後の「駅別マンション価格」以外には特に情報がなかった。

「注目エリア別に徹底分析!将来資産価値で選ぶ今買うべきマンション」という記事もあったが、中央区・江東区の湾岸部、スカイツリー周辺、北千住・南千住、田園都市線の世田谷エリア、吉祥寺・三鷹といったところが取り上げられている一方、港区はおろか山手線内側エリアには一切言及無し。
港区には将来資産価値はないのかと言いたくなったが、よく見るとその記事を書いているのはトータルブレインという会社の人。
同社はホームページに「トータルブレインは、マンション事業をトータルにサポートする会社です」と明記しているぐらいで、完全に売る側の立場。
「将来資産価値」はただのセールストーク、「今買うべきマンション」は「今買って欲しいマンション」と読みかえると合点がいく。

駅別マンション価格一覧から、港区の駅を抜き出すと次の通り。

中古マンション 新築マンション
駅名 震災前価格 震災後価格 変動率 平均価格 月額賃料
品川 6328 5991 -5.3 5301 241863
表参道 7587 7943 4.7 9268 321904
外苑前 8928 9182 2.8 8209 324772
乃木坂 7138 7364 3.2 7517 285148
溜池山王 6285 6243 -0.7 9381 272947
六本木一丁目 6583 6308 -4.2 10323 285677
麻布十番 8643 8370 -3.2 11025 327874
広尾 8557 8092 -5.4 7571 306595
六本木 8740 8126 -7 8610 335835
神谷町 6643 9015 35.7 8035 329570
芝公園 6390 5905 -7.6 7612 267239
白金高輪 6972 6990 0.3 6613 271167
高輪台 6977 7152 2.5 7369 284111
泉岳寺 6356 6113 -3.8 6480 237619
※価格はいずれも万円、70u換算

70uでどのくらいか、という目安としては参考になるが、価格の変動率はあまりあてにならない気がする。
乃木坂については掲載しているのに、それよりマンションが多いはずの白金台や田町(あるいは三田)が載っていないのも不思議に感じた。

全体を通して参考になったのは、45〜46ページの「資産価値を落とさない『強い住宅』選びの鉄則」ぐらい。
SAPIXのある街は親の教育意識が高い(そのため街としての評価もプラス)とか、街によって(23区でも区によって)認可保育園の保育園料が大きく違うといったことが書かれているが、いずれも今まであまり気にしていなかった。
保育園料については、前年度所得税納税額が50.3万円の場合の3歳未満児第一子での月額保育料が載っているが、一番安い中央区だと37,100円。
次に安いのが小金井市、渋谷区、調布市、練馬区、台東区、杉並区、中野区、新宿区の43,001〜44,000円となっていて、一番高い横浜市だとなんと69,400円となっている。
港区は記事には掲載がないが、調べてみるとD18階層で43,400円だから、中央区に次いで安いグループに分類される。
足立区、豊島区は50,001〜54,000円になるらしく、23区内でもけっこう違うことが分かる。
所得税額がもう少し低い/高い場合だとまた違うのかもしれないが、今まであまり気にしていなかっただけに、新たな気付きを得ることができた。

同記事内には「価値の下落を避けるという観点では、都心の好立地にある中規模マンションが有利」「最もお買い得なのは都心の中古マンション」という記述もあり、港区内で中古マンションを中心に探している自分としては、少し背中を押されるような感じもした。
ただ、港区で中古マンションを買うのが正しいと分かっても(本当に正しいかは分からないが)、いい物件を見つけられるとは限らない。
最近めぼしいマンションを見つけられていないので、情報収集に励まねば。

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posted by さるうさぎ at 00:07 | Comment(7) | TrackBack(0) | 雑誌記事・その他 |edit
この記事へのコメント
さるうさぎさま、いつも楽しく拝読しております。

「今が買い時な理由」のトップに挙げられている消費税増税についてふと思ったのですが、例えば7,000万円のマンションをざっくりと、土地4,000万円、建物3,000万円に分けますと、建物のみにかかる消費税の増税分3%は90万円となりますね。

全体の7,000万円からすれば90万円などたかだか1.3%にすぎないわけで、何千万円というレベルの買い物をしようとする人たちを駆け込み購入まで突き動かすには、金額的にいまいちインパクトが小さいんじゃないかなと思いました。この程度の金額差なら、購入する物件の階を1、2階下げるだけで相殺されてしまいそうです。

さるうさぎさんはマンション購入時期の検討に当たって消費税増税を意識されますでしょうか。
Posted by おでぃーる at 2012年07月15日 15:43
おでぃーるさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

消費税増税についてですが、私は今は中古物件中心に検討しているということもあり、増税自体はあまり気にしていません。
増税前でも後でも、予算内で良い物件に巡り会えたら、そのタイミングで買いたいと思っています。

ただ、消費税増税の件は、マンション価格のうち建物部分がどのくらいを占めるのかがよく分からず、そのため実際のところどのくらいの値上がりになるのかもよく分からない、という人が多いのかもしれません。
それで、とにかく値上がりするならその前に買おう、という動きがあるのかなと漠然と思っています。
それに、たかだか1.3%だとしても、90万円という金額だけを見れば、はした金ではないわけですし、階を下げられるなら増税前に階を下げて買えばより安いわけですから、私が新築マンションを買うなら、やはりなるべく増税前に買うと思います。

実際のところは、政府が増税後の優遇策とかを打ち出してくるでしょうから、駆け込み需要がどの程度になるのかは分からないですが、相場が変わらない限り、今年買うより実質的に安くなるということはないだろうなと思っています。
Posted by さるうさぎ at 2012年07月15日 23:05
さるうさぎさま

いつも参考にさせて頂いています。

当方白金高輪エリアでマンションを探しており、新築・中古共に価格・売行き状況をチェックしているのですが、全般的にあまり売れてない印象を受けます。

特に中古物件についてはこの半年間で数えるほどしか成約していないように思われます。新築物件より高い中古物件も数多くあり、中古物件の売値がマーケットを反映していないことが要因と思われます。

結果、現状新築物件の方が割安になっていると個人的には考えていますが、さるうさぎさまはこの点どうお考えですか?
Posted by トロイ at 2012年09月05日 14:58
トロイさん、初めまして。コメントありがとうございます。

確かに、新築も中古もあまり売れていないように私も思います。
価格についても、確かに単純比較では新築より高い中古物件もあると思いますが、今白金高輪エリアで出ている新築マンションは立地面で少し魅力に乏しいように感じます。
中古の中には立地的に魅力を感じるものもありますが、角部屋でなかったり、価格に割安感がなかったりして、それで売れないのかなと思っています。

中古物件は基本的に売主が価格を決められるので、割高なのは早期に売りたいということではなく、時間がかかってでも売却益を出したい、という考えなのかもしれません。

実際にどのくらい成約しているのかよく分かりませんが(チラシとかで出る前に売れているのもあるでしょうし)、私は新築も含め全体的にまだ不動産価格が高いように思います。
ただ、低金利と税制面での優遇が続けば、しばらくは大きくは下がらないのかもしれませんね。
Posted by さるうさぎ at 2012年09月06日 21:43
さるうさぎさん、ご回答有難うございます。
新築物件は確かに魅力のある立地は少ないですね。
私も今の不動産価格、特に中古の価格は高いと思っており、2005年あたりの物件で少なくとも300万円/坪を切ってこない限り中古市場は動かないと思っています。
引き続き楽しく拝読させて頂きます。
Posted by トロイ at 2012年09月07日 09:38
いつも楽しく拝見させていただいてます。

いつも思うのですが、消費税増税によって本当に物件は高くなるのでしょうか?
売る側のセールストークのような気がします。

たとえば、売り買いは、売り手と買い手の合意で成立するものと考えると、消費税が増税されても買い手がお金を払えなければ、売り手としても値段を下げざるを得ないはずです。

長期的に見た場合、買い手が住宅購入に割く事ができるお金が変わらない場合は、仮に消費税があがったとしてもマンション価格には影響がないとおもいますが、いかがでしょうか?

Posted by at 2012年11月24日 09:20
コメントありがとうございます。

確かに、買い手の予算が変わらなければ、マンション価格が上がることもない気もします。
ただ、実際には買い手の予算は心理的要素である程度変動すると思いますので、消費税増税で価格が多少上がったとしても、マンション購入はあきらめたくない、と買い手が思えば、物件価格も上がったままになるのではないでしょうか。

もちろん、短期的に物件価格が上がったことでマンションが売れにくくなれば、売り手はマンション用地の仕入れに慎重になるでしょうから、長期的には土地の価格が下がり、トータルでは価格は変わらない、ということになるかもしれません。
が、消費税率がたとえば20%、30%になったとしてもマンション価格が長期的に見れば変わらないかというと、そんなこともないと思います。
新築住宅を買う人は減るでしょうが、その分売り手も供給を絞り、価格はある程度増税分を反映したものになると思います。

実際には、今回の増税ではマンション価格全体に占める増税額の割合は(タワーマンションなど建物部分の比率が高いものを除けば)そう高くないと思いますので、グレードを落としたりして表面的な価格は変えずに実質的な価値を下げて販売するところも出てくるとは思いますが、同じ価値のマンション同士で比べれば、やはり増税後の方が価格は高くなるのではないかと思います。
Posted by さるうさぎ at 2012年11月25日 00:14
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