元々12月中旬に資料発送予定となっていたのが、「12月下旬へと変更させて頂きます」という発想遅延のお詫びがメールで送られてきていたもので、出だしからなんだかドタバタした感じだなと思っていたら、資料の中身も他では見られないほど訂正が多い。
資料の外装部分は非常に高級感を醸し出すような素材でできていたが、外見だけ良くて中身は間違いだらけというのはどうなんだろう、と思いつつ資料を見てみた。
【概要】
売主は三菱地所レジデンスで、ザ・パークハウスシリーズを港区でもこの1,2年だけでもいくつか分譲している。
ザ・パークハウスシリーズは、三菱地所の分譲部門と藤和不動産が統合してからの新シリーズで、名前だけは高級そうな感じだが、市場のボリュームゾーン(3,000万〜6,000万の価格帯)を取りに行くと方針が公言されていることからも分かるように、従来のパークハウスシリーズよりもやや廉価なものが多いように思う。
[2013年2月19日追記]マンション名はザ・パークハウスグラン南青山高樹町に決定。
都心のフラッグシップマンションシリーズ「ザ・パークハウス グラン」の第一弾プロジェクト2棟のうち一つであるらしい。
施工は鹿島建設。
資料の物件概要欄では、敷地面積が14096.37uとなっているが、同封の「お詫びと訂正」によると正しくは4096.37uとのこと。
総戸数は86戸で、うちグランドコートが61戸、デザインコートが25戸と記載されている。
専有面積は79.37〜164.41uで、そのほか目をひく点としてはルーフバルコニー面積が25.88〜98.45u、テラス面積が21.08u〜57.56uというところ。
また、プライベートホール面積が3.98〜11.11uとなっているが、これも正しくは3.98〜15.17uと「お詫びと訂正」に書かれている。
プライベートホールというのが何なのか、物件概要を見ただけでは分からないが、間取り図を見て理解できた。
建物完成は平成26年1月下旬、引き渡しは同3月下旬予定で、販売開始は平成25年3月中旬となっている。
【立地】
地図を一見すると西麻布のようにも感じるが、ちょうど南青山7丁目と西麻布4丁目の境目の南青山側に位置しており、道を挟んで反対側から先が西麻布という立地。
最寄り駅は広尾駅で徒歩11分、そのほか物件概要欄には表参道駅も徒歩14分として書かれている。
広尾駅からだと、広尾ガーデンヒルズのマンション群の中を通り、抜けたところで左に曲がってさらに坂を上がっていった高台(標高30メートルとのこと)にある。
大通りを通らず、静かな環境の中を歩いて行けるし、マンション周辺も大通りからは100メートル以上離れていて非常に静かな場所だと思われるので、港区内としては環境の良いところかもしれない。
日赤医療センターに非常に近いのも大きな特長。
もっとも、坂道だし物件概要欄表示での徒歩11分だから、実際には地下鉄を利用する人より、車での移動が中心の人向けの場所だと思う(広尾駅からの標高差は約20メートルのもよう)。
スーパーなどの商業施設も広尾駅周辺に行かなければないと思うので、食材などの買い物も車で行く方が便利そう。
改めて物件概要欄を見ると、駐車場は全部で70台(来客用を除いても69台)ということで、総戸数86戸に対して8割の台数が用意されており、最近の港区内の新築マンションの中ではかなり多い方。
やはり売る側としても車を持つ人を主な対象と考えているようだ。
ただ、ちょっと前の超高級マンションでは、総戸数以上の駐車場があるマンションもざらにあったように思う。
今回の南青山高樹町プロジェクトでは駐輪場も124台あり(物件概要には130台と書いてあったが、これも誤りとのこと)、最近の新築マンション全体の傾向として、駐車場は少なめ・駐輪場は多めという傾向が定着してきているように感じる。
【間取り】
間取り図は3種類、いずれもグランドコートのもので105.97u、134.21u、164.41uのものが同封されていた。
グランドコートは、いずれも各フロア2住戸で1基のエレベータを使用するようになっており、またそのエレベータも1基にドアが2つ左右についていて、エレベータを出た先は完全に自住戸でしか使用しないスペースとなっている(その部分が「プライベートホール」と呼ばれている)。
各フロア2住戸で1基のエレベータを共有というのは、少し昔のマンションで時々見かける気がするが、エレベータに扉が2つ付いていて出た先がプライベートホールというのは見たことがない。
(エレベータでも階数ではなく、部屋番号を押すようになっているらしい。)
一般的に、内廊下のマンションでも、そこに自転車とか物を置くのは管理規約で禁止されていると思うが、このような形ならプライベートホールに物を置いても良さそうだ。
肝心の間取りそのものは、(少なくともグランドコートは)いずれもセンターイン型の間取りで、南側にリビング・ダイニングとキッチン、北側に寝室が並び、その間に洗面室や浴室が配置されている。
専有部内で廊下部分の面積が少なく、スペースをかなり有効に使えているように思う。
部屋の中で柱が出っ張っているようなところもほとんどなく、収納も多く、使いやすそうな間取りだと感じた。
洗面台は105.97uはひとつのみで、134.21uからツーボウルとなっている。
ここは標準的な仕様だが、床暖房範囲には105.97uの住戸も含め、リビング・ダイニングの他にキッチン、主寝室まで入っていて、かなりグレードが高く感じられる。
今回の3種類の間取りの中では、134.21uと164.41uは角部屋だが、実際にはグランドコートの多くは角部屋ではない。
ただ、どの住戸も少なくとも南と北それぞれに開口部があるので、風通しは良さそう。
【周辺相場】
道を挟んでほぼ真向かい、西麻布4丁目側には、ウォール西麻布という平成5年築、総戸数7戸のマンションがあり、2009年に99.02uが8,980万円で売られていた。
そこから少し東に行ったところにある西麻布パーク・マンション(昭和55年3月築)は、2010年に134.12u、専用庭115u着き住戸が1億2,400万円で売り出されていた。
最近の新築では、サンウッド西麻布が37.55u〜91.76uに対して3,900万円台〜1億2,000万円台という価格設定だった。
ただし、サンウッド西麻布は元々今年の10月完成予定だったのが、今公式ホームページを見ると来年2月完成予定になっており、総戸数は41戸と少ないにもかかわらず、未だに売れ残っており最終期の予告が出ている。
このあたりでは、麻布霞町パークマンションや、あるいは渋谷区だが広尾ガーデンヒルズのように広い敷地に建つマンションが高額で取引されている印象があるが、それ以外はそこまで高い印象はない。
【所感】
非常に高級そうに感じる。
立地も静かな高台で良いと思うし、広い間取りが多いし、グレードも高そう。
プライバシー確保を非常に重視していることから、もしかしたら芸能人とかに好まれるのかもしれない。
その一方で、マンション内でのコミュニケーションは極めて低調になりそうにも感じる。
普通のマンションですら、同じ階にどんな人が住んでいるのか分からないといったことがあるのに、これだけ独立性の高い住戸を多く設置して、それを好む人が集まってくると、災害時に助け合うといったことは困難ではないかとも思う。
また、エレベータが全部で9基あるようで、総戸数に対して多すぎると感じる。
その分他の人と同乗する可能性が低く、プライバシー確保になるのはメリットだろうが、修繕積立金をかなり積まないとメンテナンス費で圧迫されるのではないかと思う。
特にエレベータの交換となると結構な金額になると思う(高層マンションではないから、そう高額でもないのかもしれないが)。
そして、資料の発想が予定より遅れた上に、資料そのものにシールを貼ったり、別紙でも訂正を入れるなど間違いだらけ(それも仕様変更とかではない単純なミスがある)というのを見ると、このプロジェクトは大丈夫かと少し心配にもなる。
しかもこの段階ではマンション名も決まっていないわけで、それでも公式ホームページを開設して資料を発送するのであれば、もうちょっとしっかりすべきではないかと思う。
スケジュールに無理があるのか、あるいは関係者間でのコミュニケーションがうまくいっていないのか、そういったことが根本原因にあるのであれば、マンションそのものにも影響が出るのでは、と勘ぐってしまう。
今回はこの部分が一番気になった。
南青山高樹町プロジェクト 建設予定地(中央緑の目印)
より大きな地図で 港区マンション探検記 を表示
引き渡しも相当遅れるとのこと。
そんなことになっているとは全然知らず、マンション掲示板を見てみましたが、非常に活発にやりとりがされていて驚きました。
少なくとも12月18日まで(SUUMOで)先着順で1戸販売していたのに、完売しましたといった表示もなしに公式ホームページが削除されるというのは、問題があったことを認めたようなものだなと思います。
最近は震災の影響だけでなく、建築作業の担い手不足もあって建築コストが上昇しているとも聞きますが、そういうことも背景にはあるのか・・・いずれにしても、三菱地所レジデンスには事実と原因、対策をきちんと発表して欲しいですね。
自分としては最近新築マンションは高額なのであまり検討していませんが、こういうことがあるとますます新築マンションを検討する気にはならなくなります。
情報ありがとうございました。