備考欄には「借地権準共有持分権付」と書かれており、これはもしや、と思ってホームページから詳細資料をダウンロードしてみると、やはりあのシティタワー品川だった。
シティタワー品川が販売されたのは今から4年前の夏。
73.89〜114.27uの専有面積に対し、価格が価格は2,247〜4,347万円と破格の安値で売り出されたため、その当時新聞などでもニュースになるなど、かなり話題となった。
シティタワー品川の敷地は定期借地権なので、期間満了後の期間延長はできないが、一般的な定期借地権が50年であるのに対し、シティタワー品川は70年(しかも解体期間を含まず)と長い。
敷地が所有権のタワーマンションであっても、70年も経てば建物が老朽化し、建て替えもできずに住めなくなる可能性もあるだろうから、これだけ長期の定借であればデメリットも小さい。
立地が埋め立て地でなければ、自分も申し込んでいたと思う。
今回競売に出ているのは、71.80uの住戸で、売却基準価額は2,607万円となっている。
この71.80uというのは登記簿上の面積(壁の内側の面積)のようで、分譲時に売主がカタログなどに記載する面積は壁芯のため、これより少し広い(一般的には5〜6%広い)ようだ。
分譲時の中間倍率表が手元にあったので見てみると、部屋タイプはAタイプとなっているので、シティタワー品川の中では最も小さい、73.89uの住戸だと思われる。
そうすると、分譲時の価格も相当安かったはず。
残念ながら手元に価格表は残っていなかったので正確な価格は分からないが、インターネット上の情報では、低層階と高層階で価格差は1割程度しかなかったようだ。
73.89uで最も安い2,247万円に、1割程度加算すると、2,400〜2,500万円程度だろうか。
今回の売却基準価額はそれを上回っていることになる。
4年前に比べて、今の方が港区のマンション価格は全体的に下がっていると思うし、シティタワー品川に関して言えば定期借地権の残存期間が4年減っているわけだが、それにも関わらず競売での評価額が分譲時価格を上回るというのは、シティタワー品川がいかに割安だったかを現している。
今回の競売の詳細資料内「関係人の陳述など」を読むと、買戻特約の付記登記がなされており、今回の競売物件の所有者は特約違反が判明し、買戻権行使の可能性があること、買戻権の行使について、物件所有者の破産管財人と話し合いを始めたこと等が、住友不動産マンション事業本部事業統括部のコメントとして記載されている。
この買戻特約というのは、分譲当時からシティタワー品川公式ホームページに記載されていた、「6ヶ月以内に自ら居住しないとき、継続して居住しないとき、居住用途以外に使用したとき、住友不動産の許可なく所有権の移転や質権・抵当権や賃借権などの設定を行った場合は、住友不動産が買い戻しをできる」ということを指すのだろう。
公式ホームページには、買い戻すときの価格は、購入時の売買代金相当額から、10%の違約金を差し引いた額であるとも書かれていた。
今回の資料によれば、買戻特約の買戻期間は平成25年10月31日までとのこと。
今回はこうして競売に出ているわけで、買戻しはしないことになったのかと思って他のページを見てみると、「買戻権者から、買戻権の行使をせず、買戻特約登記の抹消登記手続について買受人に同意する旨の申出がある」と記載されている。
今回は、売却基準価額も、最低入札金額(買受可能価額)も「購入時の売買代金相当額から10%の違約金を差し引いた額」より確実に高く、所有者としては競売で売却できた方が良いだろうから、住友不動産が(なぜかは分からないが)譲歩したのではないかと思う。
しかも、住友不動産は買戻しをしないばかりか、買戻特約登記を抹消するとも言っているわけで、本来ならシティタワー品川の住戸は来年10月末まで転売できないわけだが、今回の競売物件については、買ってすぐ転売もできると思われる。
今年の3月末頃、地権者住戸なのか、シティタワー品川の最上階にある73.89u住戸が4,660万円で売り出されていた(詳細は「あのシティタワー品川が中古で売りに出た」参照)。
実際にいくらで売れたのかは分からないが、もう売れたようなので、今回の34階住戸もそれに近い価格で売れるのだろう。
多くの札が入りそうな気がするが、どのくらいで金額で落札されるのだろうか。
■シティタワー品川関連記事
シティタワー品川
「『シティタワー品川』が安い理由」読売ウイークリー08年9月14日号
あのシティタワー品川が中古で売りに出た
[2013年1月12日 追記]
今度は同じシティタワー品川34階の別住戸(86.64u)が同じく競売に出た。
売却基準価額は3,654万円。
今回の方は、管理費の滞納がないこともあってか、前回物件よりも売却基準価額の平米単価が高い(前回は約36万円、今回は約42万円)。
それにしても、34階で競売物件が続けて出るのは偶然なのか、何かあるのか、何にせよ少し驚いた。