先月は週刊ダイヤモンドがマンション特集を組み、その前月にはプレジデントがマンション・住宅特集号を出していた。
東洋経済のマンション特集は10月頃に出ることが多い印象を持っていたが、他の雑誌に続きこの時期に特集を組むというのは、マンション市場が急速に活発化していることを反映したものかもしれない。
今回の特集はマンション編とオフィスビル編の二部構成になっている。
週刊ダイヤモンドは中古マンションについても記載していたが、今回の東洋経済記事は完全に新築マンションに特化している。
特集タイトルにもあるとおり、不動産は需要の集中するものとそうでないものに二極化しており、立地が物件価値を決める、といった内容。
その上で、いくつかのエリアについて具体的な新築マンション名などをあげながら説明している。
(たとえば、三菱地所レジデンスのザ・パークハウスグラン南青山高樹町は3月下旬に売り出した30戸の大半が契約済みなど。)
立地については、都心で交通利便性の高いエリアに人気が集中しているというようなことが書かれているが、「都心回帰というより原点回帰」とも書かれており、都心マンションでも時流に合わない共用施設はマイナス(実際湾岸大規模マンションのプールは監視員の費用が高くつき、ほとんど水が抜かれているとのこと)であるとか、多少郊外でも駅至近の物件で人気を得るものがあるといったことが書かれている。
その他には、武蔵小杉は今がピークだとか、これから注目を集めるのは新川崎だといったことも書かれている。
いくつかのコラム記事のあと、「買いの駅はここだ!マンション価格500駅」というランキングが掲載されている。
おなじみのランキングではあるが、500駅の一覧表の後、指標ごとに順位付けした表もいくつか載っていた。
その中の「新築価格5年前比ランキング」では、5年前と今の新築マンション価格を比べてどのくらい変動があるかを順位付けしていて、上位40駅と下位(下落)40駅が並べられているが、上昇の1位は品川駅。
品川駅は線路を挟んで海側か高台側か、海側でも駅からどのくらい離れているのかで全然価格が違うので、同じ品川駅としてまとめてしまうと、実際のところどのくらい値上がりしているのかよく分からなくなってくる。
それよりも興味深く感じたのは、品川以外に上昇40駅に港区の駅は一つもないことと、下落している駅ランキングの上位5駅のうち3駅が港区であること。
5年前というのは、具体的には2006年4月から2008年3月までを指すと書かれているので、リーマンショック直前の不動産プチバブルの頃だと思われる。
その時期と比べて値上がりしている駅は品川以外になく、六本木、泉岳寺、高輪台はいずれも30%以上新築価格が下がっているということになる。
六本木と泉岳寺・高輪台では雰囲気がまるで違うが、港区は他の地域に比べて景気が新築マンション価格に影響しやすいエリアなんだろうなと感じた。
全体的に週刊ダイヤモンド記事のような嫌らしさはあまり感じなかったが、マンション編の最後に載っていた「銀行でも教えてくれない住宅ローンの新常識」は、割とありきたりな内容で、「銀行でも教えてくれない」というのは誇大表現だと感じた。
このようなタイトルにするのであれば、もう少し踏み込んだ比較(たとえば、銀行ごとに保証料がどのくらい違うか、元金均等方式を扱っているかどうか、繰上返済が期間短縮型と返済額軽減型両方選べるか、繰上返済時に戻ってくる保証料から手数料が引かれるかどうか、など)をして欲しかった。
また、主な銀行の住宅ローン金利を比較した表が掲載されているが、なぜか優遇後の金利が一番低いと思われる三井住友信託銀行が載っていない。
マンション編の一番最後にとってつけたように載っているので、なんだかページ数を増やすためだけに載せたように見えてしまい、この点はちょっと残念。
それにしても、最近の長期金利の激しい動きは気になる。
新築マンションを買うとなると、3月に融資実行となるパターンがほとんどだと思うが、この1〜2ヶ月でこれだけ変動しているのだから、半年以上先にどうなっているか、まったく見当もつかない。
すぐ入居できる中古マンションなら、融資実行が半年後なんていうことはないが、市場にずっと出ているものはあまりぱっとしないし、いつどんな物件が出てくるか分からないし、なかなか難しい。
新築マンション契約時の金利で融資が受けられれば買いやすいのに、などと思ってしまう。
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