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2013年09月23日

「住宅選び&リフォーム必勝法」日経トレンディ2013年10月号

最近、新聞などでマンションに関する話題を目にすることが以前より多いように感じる。
新築マンションの在庫は少なく、どこも強気の価格で出しているが、それでもすぐに売れていく、というような記事を、2020年の東京オリンピック招致が決まってからもそうだが、その少し前からあちこちで見かける気がする。
そんな中、この間日経トレンディ2013年10月号を見ていたら、「住宅選び&リフォーム必勝法」と題した特集が組まれ、マンションについても少し書かれていた。

この記事も同様に、7月は1都3県で新築マンション5,300戸が発売され、2007年以来の高水準であることや、それにも関わらず契約率も6,7月は連続して80%を超えていること、そして地価上昇・資材コスト上昇・人件費高騰で今後も深刻なマンション価格の値上がりが予想されるため、今が買い時である、というようなことが冒頭から書かれている。
また、2ページ目には新築・中古マンションそれぞれについて、売れ行き・価格・品ぞろえ(在庫状況)をわかりやすくグラフで見せているが、いずれも売れ行き好調、価格は上昇傾向で在庫は減少傾向と、今後の価格上昇を示唆するものになっている。

さらに金利の先高観もあるので、今買わない手はないとしつつ、マンションなら何でも良いというわけではなく、自分が気に入ったものであり、かつ資産価値が落ちにくいものを選ぶ必要がある、そのためには駅の新築相場に対する中古相場の騰落率を把握する必要がある、として駅ごとの中古相場騰落率の一覧が出てくる。
  

その中古相場騰落率というのは不動産サイト提供の情報に基づくもので、このあたりからその不動産サイトの宣伝記事のようでもあったが、その一覧によると、騰落率がプラス(中古相場が新築相場より高い状態)なのは六本木、表参道、川崎、二子玉川、白金高輪の5駅だけ、だということだった。

赤坂や麻布十番や白金台はプラスではないのか、と思って一覧を見てみると、赤坂は騰落率が-17%、麻布十番は-9%で、白金台は掲載されていなかった。
また、六本木は騰落率がプラスということだが、六本木一丁目は騰落率が-25%で大幅にマイナス。

たまたま新築で高額なマンションが出ていれば、相対的に中古の方が安くなって騰落率はマイナスになるだろうし、逆にオープンハウス・ディベロップメント物件のような安価な新築物件が出ていれば、相対的に中古の方が高くなって騰落率はプラスになるのでは、という気がする。
しかも算出方法を見ると、「本来、各物件の駅からの距離は異なるが、[駅から徒歩7分][広さ70u][中古価格は築10年]を想定して金額を補正してある(算出係数は非公開)」とあり、データの信憑性にも疑問を感じた。

そもそも、騰落率がプラスになるということは、中古の方が高く評価されているという不自然な状態をさすわけで、本当に同じ条件に正確に補正ができて騰落率がプラスになるのであれば、むしろその方が注意を要するようにも感じる。
記事では、騰落率がプラスであれば資産価値は落ちにくい、ということを当然の前提にして書いているが、たとえば新築で安っぽいマンションが増えていることで騰落率がプラスなのであれば、むしろ今後資産価値は下がるのではないかと思う。

思うに、駅ごとに資産価値が下がりにくい・下がりやすいというのももちろんあるだろうけれど、駅から遠い方が資産価値は下がりやすいし、また駅ごとに本来の相場があり、それより高く売り出された新築マンションは下がりやすいし、逆もまたしかり、ということではないか。
実際、騰落率がプラスとされる白金高輪について見れば、アエルシティの再開発がされる前、そして新築相場が安かった2000年代前半に分譲された物件は今でも分譲時価格より高く中古市場に売り出されているが、リーマンショック前のプチバブル期に売り出された超高額マンションは、なかなかそれ以上の価格で売りに出てはいないように思う。

また、同じ時期に白金高輪で分譲されたタワーマンションで見ても、駅直結の白金タワーは分譲時より値上がりしているが、駅から少し遠く緩やかな坂を上がらなければいけない高輪ザ・レジデンスは、分譲時からやや下がっているものが散見されるし、今は単価で見ても白金タワーより安い(分譲時価格は白金タワーより高輪ザ・レジデンスの方が高かったと思う)。
築年月はどちらも同じ2005年10月頃、共用部などの高級感で言えば、個人的には白金タワーよりも高輪ザ・レジデンスの方が上だと思う。
それでも逆に白金タワーの方が値上がりし、高く取引されている理由は、駅からの距離が近いことだろう。

資産価値が落ちない物件を選ぶのが大事だというのはその通りだと思うが、算出根拠のよく分からない騰落率などで判断するのではなく、自分にとって良いと思える場所の中で、昔から言われているように、なるべく駅から近い物件を選ぶのが良いのではないだろうか。
その上で、類似中古物件に比べて割高感のあまりないものを買えば、資産価値が大きく落ちることも少ないのではと思う。

  
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posted by さるうさぎ at 23:46 | Comment(2) | TrackBack(0) | 雑誌記事・その他 |edit
この記事へのコメント
さるうさぎさん、ごぶさたしています。以前も書き込んだ、へびあなごです。
これは、面白いテーマですね。確かに、中古の価格は、最寄駅で決まるわけではないですからね。
駐車場の少ないマンションでは、よくある「駐車場専用使用権付」のマンションでも、専用使用権は売れない(部屋を売れば駐車場の権利は再抽選になる)ので、転売価格が下がりやすい、なんてこともありますし(ましてや、優先選択権なんて、転売する前に消えてしまう可能性さえあります。)、隣にマンションが建てば、リビングが日陰になって価格が下がることもある。
また、転売の際の売りやすさのために、家族2人なのに新築の際の間取り選択プランを2LDKにせず、3LDKにして1部屋遊ばせておく、なんて話を聞くと、そこまでして転売価格を気にしなければならないのか?と考えてしまいます。自分が住みたいと心から思える物件は、きっと他にも欲しいと思ってくれる人が現れる。そう信じて、私は自分の住み心地を優先したいですね。
Posted by へびあなご at 2013年09月24日 15:11
へびあなごさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

売りやすさのためだけに3LDKにしておく、なんていうケースがあるんですね。
2LDKでも3LDKでも、転売価格はそう変わらないのではと思ってしまいますが、確かにリセールバリューにやたらこだわる方はいるような気がします。

いくら転売しやすいと思われても不確実ですし、その上住み心地が犠牲になっているとしたら、何のためにマンションを買うのか分からないですよね。
私もまったくへびあなごさんのコメントに同感です。
Posted by さるうさぎ at 2013年09月25日 23:35
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