足場が組まれていたので、通常の大規模修繕工事かとも思ったが、少し前に自分が見かけたときはバスタブを運び出したりもしていた。
そして最近再び高輪ハイマンションの前を通ると、「高輪グランドパームス」というプレートが付けられ、外壁の色も以前とは違う色で塗られていた。
どういうことかと思って調べてみると、分譲されるようで、公式サイトも作られていた。
高輪ハイマンション自体、元々分譲マンションのはず。
分譲マンションが、名称を変えて再び分譲されるというのは、建て替え以外では聞いたことがない。
【概要】
高輪ハイマンション自体は、1971年(昭和46年)築で、総戸数は125戸。2009年には、64.15uの住戸が2,980万円で売り出されたりもしていた。
今回の工事が行われるまでは、長期間修繕がされていないような外観で、カーテンのついている部屋も少なく、住んでいる人は少ないように見受けられた。
工事前の高輪ハイマンション
高輪グランドパームスの公式ホームページで物件概要欄を見ると、売主は「東京ソックス株式会社」という聞いたことのない会社。
同社のホームページを見ると、元々は靴下工場だったようだが、2001年に靴下製造業を廃業し、2003年から不動産業を行っている、といったことが書かれている。
従業員は3名、役員は同姓の人が多く、一族でアパート・マンション経営をやや大規模にやっているというところだろうか。
総戸数125戸に対し、販売戸数102戸ということなので、恐らく東京ソックスが総戸数(議決権総数)の8割以上にあたる102戸を買い集め、今回の大規模工事に着手したのだと思われる。
高輪グランドパームスの公式ホームページには、「リノベーションを超えた『リニューイング』マンション」と書かれている。
リノベーションと何が違うのかと思ってホームページを見ていくと、耐震補強工事の一環として配筋の増設や、コンクリートの注入といったことが書かれており、他にも窓枠・サッシの交換や、二重床・二重天井化など、かなり大規模に手を入れている印象。
確かにこれは単なるリノベーションではない。
価格もある程度出ており、公式サイトトップページには、1LDK 4,000万円〜、2LDK 4,950万円〜、3LDK 6,750万円〜と大きく書かれている。
物件概要欄では、専有面積39.46u〜87.14uに対し、販売価格は4,000万円〜9,550万円と記載されている。
管理費は月額8,100円〜17,100円、修繕積立金は月額2,850円〜6,020円。
今回の工事は桂建設が担当で、販売(仲介)として、三井のリハウスを展開する三井不動産リアルティの名が書かれている。
管理会社は東急コミュニティとのこと。
入居は2015年11月下旬予定となっている。
【立地】
物件概要欄では、都営浅草線の泉岳寺駅徒歩3分、JR品川駅から徒歩12分、東京メトロ南北線・都営三田線の白金高輪駅から徒歩13分と書かれている。品川駅からはほぼ平坦な道なので十分徒歩圏という印象だが、白金高輪駅からは坂を登って(エレベータでも上れるが)、そこからまだ下り坂を下っていくことになり、少し疲れる。
特に白金高輪駅はホームが地下の深い場所にあるので、ホームからだと上り下りの高低差だけでもかなりあり、時間も20分近くかかるのではないかと思う。
高輪グランドパームスは幹線道路の第一京浜に直接は面していないが、東向きの部屋だと車の音や、電車(JR)の音が少し気になるかもしれない。
周辺はマンションが多く、人通りも少ない。
西向きの住戸なら静かなのではと思う。
泉岳寺駅周辺は飲食店が少しあるものの、それ以外の商店はコンビニぐらいしかない。
スーパーもすぐ近くにはなく、坂を上ったところにあるピーコック三田伊皿子店が最寄りだと思うが、歩いて7〜8分かかり、坂なので重い荷物を運ぶのはすこししんどい。
現時点では、最寄り駅から徒歩3分でありながら比較的閑静な環境ということと、赤穂浪士の墓があることで有名な泉岳寺が近くにあるというぐらいで、他に立地面の特長はあまり思い当たらないが、最大のポイントは2020年に新設される山手線新駅から非常に近いということだろう。
新駅への歩行経路がどうなるかよく分からないが、恐らく徒歩2〜3分だと思う。
新駅周辺の再開発次第では、生活利便性も飛躍的に向上するかもしれない。
【間取り】
ホームページには41.93uから78.77uまで、全部で4種類の間取りが掲載されている。78.77u以外の間取りは、どれも寝室に行くのに必ずLDを通るようになっており、78.77uの間取りも、LD以外の3部屋のうち、2部屋はLDを通らないといけない。
最近のマンションとは少し間取りの趣向が違うように感じる。
間取りの抜本的な見直しまではさすがにできなかったのかもしれない。
ただ、その分室内に廊下がほとんどなく、デッドスペースが少ないとも言える。
その他、トイレに手洗い台がなかったり、多くの間取りでトイレが洗面室のさらに奥に設置されていたり、冷蔵庫置き場の幅が浴室ドアの幅より狭く見えたり、少し気になるところもあるが、割り切って使えば大した問題ではないかもしれない。
掲載されている全ての間取りでLDに床暖房が入っているが、これはリノベーション(リニューイング)マンションならではというところ。
【周辺相場】
高輪グランドパームスのほぼ真向かいにある1973年築の高輪ヒルズで、2階の120.9u住戸が9,880万円、3階の99.4u住戸が7,480万円で売り出されている。それぞれ平米単価で見ると81.7万円、75.3万円となる。
高輪グランドパームスよりは2〜3割安い価格水準だろうか。
駅からの距離はほぼ変わらないが、高輪ヒルズは高輪グランドパームスよりさらに第一京浜から離れていて、少しだけ高台側にあり、環境としてはより良いと思う。
他に築年月の近いところでは、第一京浜沿いの高輪グランドハイツ(1971年築)で5階の41.32uが3,480万円で売りに出ている。
これも平米単価は84.22万円で、高輪グランドパームスより2割ほど安い。
元々このあたりはあまりマンション価格の高くないエリアだが、前回のプチバブル期に分譲されたマンションは今も平米単価約120万円〜170万円で売り出されている。
それを考えると、高輪グランドパームスの価格は築浅よりは安く、リニューイングをしていない築40年マンションよりは高いということで、ちょうど良い価格設定なのかもしれない。
【所感】
元々がかなりインパクトの強い状態だったので、いくらリニューイングでコンクリートの注入や配筋追加をしたからといって、本当に大丈夫なのか、と心配。ただ、もしこれで耐震性能が新築並みとまではいかなくても、新耐震の基準は十分に満たし、非常に強い地震でも倒壊したり大きく損傷しないのであれば、一度見てみたいと思う。
今は、古いマンションの老朽化対策として建て替えがもてはやされているように感じるが、いずれ増えてくる老朽化タワーマンションではまず無理だと思う。
高輪グランドパームスのようなリニューイングにより、マンションの性能を回復・向上できるのであれば、建て替えに変わる選択肢になり得るのではないか。
そういった意味でも、ぜひ一度見てみたいマンションではある。
高輪グランドパームス(旧称:高輪ハイマンション)所在地(中央緑の目印)
タグ:中古マンション
本当に、夜中に見ると数えるぐらいしか明かりがついていなくて、幽霊マンションという感じでしたよね。
外壁なども、ずいぶん長い間修繕されていないような感じでしたし・・・。
ホームページには、9月下旬に現地モデルルームオープンと書かれているので、2〜3週間後には内覧できるのかもしれませんね。
私ももし時間が許せば行ってみたいと思います。
フルリノベーションなのですべてピカピカ。
廊下の幅が広くていい感じでした。
価格等は記事にご記載の通りだったと思います。
1階の天井高が高く、価格は抑えられているのでオトクかな。
9階から見た感じは西は泉岳寺とか二本榎の高台が望め、東の方のルームからは第一京浜を見下ろす感じ。
築45年をどう考えるかですが、ご案内していただいた方の話では、この立地で新築なら坪6百万円はするそうです。
今のところ成約率は20%くらいなようで、1年もすれば完売でしょうね。
久しぶりに高輪グランドパームスの公式ホームページを見てみたら、販売戸数が86戸と書かれているので、16戸が売れたということなんでしょうかね。
内装ピカピカで廊下の幅が広い、というのはいいですね。
一度見てみたいなと思いつつ、築45年というのはやはり厳しいなあとも思い、結局全然見に行ってません。
確かに今ここで新築マンションを売りだせばはるかに高くなるのは間違いないでしょうけれど、今は異常なほど新築マンション高いですしね・・・。
新駅ができれば立地的には非常に良いんでしょうけれど、その頃にはほぼ築50年ですから、うーん、どうなんだろう、と思ってしまいます。
義士祭は平日だったので行けませんでしたが、近いうちに完成したであろう外観だけでも見に行ってみようと思います。
貴重な情報をありがとうございました。
2008年までこちらに住み、2010年、だったと思いますが
こちらを売却した者です。
いわくつきの物件ですから、
購入はおすすめしません。
なぜ建て壊しし、あらたに建て直ししなかったのか、
そうできない理由があるからです。
こちらは、元はソビエト連邦が多くの部屋を所有していましたが、その後ソビエトが崩壊しロシアとなったため
不動産の手続き上、ものすごくものすごく複雑化してしまいました。
この物件を購入してしまった方は、不運としか言いようがない…。
私は、当時当該物件管理者の長谷工に売却しましたが
とても面倒でした。
コメント頂き、ありがとうございます。
ソ連が多くの部屋を所有していたとは、初めて聞きました。
今回は東京ソックス株式会社というところが売主ということなので、そこが大部分の住居を取得しているのだろう、建て替えるより修繕して売ったほうが利益が出ると判断したのだろう、という程度に考えていましたが、今も建て替えができない理由があるということなんでしょうか?
もしコメント欄に書くと支障があるようなら、個別にメールでお知らせ頂けたら・・・とお願いしたくなるほど興味深い内容で、もっと詳しく知りたいと思いました。
なんと、そんなことになっていたんですね・・・。
どうりで、建て替えができないわけですね。
よくタワーマンションとかで外国人所有者が多い場合に総会での意思決定が円滑に進まないとか、マナー違反をする居住者が多いとか、そういったことを報道で見聞きしますが、国家(しかも旧ソ連)が所有しているとなると、今後も建て替えは不可能な感じがしますね・・・。
教えて頂き、ありがとうございました。
いずれは完売、と思っていましたが、地元としては完売できて良かったでです。
いつの間にか完売してたんですね。
そういえば前は泉岳寺駅トイレの近くに大きな広告があったように思いますが、最近何度か泉岳寺駅を使ったときは見かけなかった気がしますね。
完売できてよかったですね。