その中で最初に報じられたのはザ・パークハウスグラン南青山高樹町だと思うが、今回は報道量がその時と比較にならないほど多い。
今回、新聞では連日一面や社会面トップ記事で載り、社説でも取り上げられたりしている。
大企業寄りといわれる日経新聞が最初に大きく報道したのも、南青山高樹町の時と大きく違う。
南青山高樹町の時は、インターネット掲示板への書き込みで問題が発覚し、マスコミでの最初の報道はそれからかなり経った後、それも新聞ではなくフジテレビ(16:50からのスーパーニュース)だった。
その後も新聞での扱いは大きくなく、取り壊して建て直すことが決まってからも、Webメディア(日経BP社のケンプラッツなど)での報道が中心だったように思う。
ヤフーでも一時トップページに掲載されたが、今回のように連日トップページに載るという感じではなかった。
昨年は横浜市西区のパークスクエア三ツ沢公園でも今回同様の欠陥工事が明らかになり、新聞などで報道されたが、その扱いも今回ほど大きくはなかったように思う。
デベロッパーは、ザ・パークハウスグラン南青山高樹町は三菱地所レジデンス、パークスクエア三ツ沢公園は住友不動産、今回のパークシティLaLa横浜は三井不動産レジデンシャルで、いずれもマンションデベロッパーとしては超大手。
ザ・パークハウスグラン南青山高樹町との比較でいえば、今回の横浜のマンションは既に住民が入居済で、総戸数700戸と大規模である上に、既にそのうち1棟が傾くという影響が出ていることが大きな違いなのだろうが、パークスクエア三ツ沢公園と比較すると、総戸数、欠陥工事の原因、欠陥の範囲が違うとはいえ、傾いたマンションという意味では同じ。
マンションの重大な欠陥が超大手デベロッパーの物件で相次いでいるいうことで、扱いが大きくなってきている面もあるのかもしれない。
いずれにしても、今回大きく報道されたのは良かったと思う。
当初の報道を見ていると、三井不動産レジデンシャルの住民に対する対応も真摯なものではなかったようだが、報道後は一転して全棟建て替えを提案するなど、180度対応が変わっているように感じる。
マスコミで大々的に報道されなければ、もしかしたら建て替えまでは提案していなかったかもしれない。
それに、今後デベロッパーは(まっとうな会社なら)ますます欠陥工事に対して注意を払うことになるだろう。
そうなれば、今後のマンションで欠陥工事、不正行為が行われにくくなるはず。
ただ、今回は(今のところ)二次請けの旭化成建材の現場担当者が不正を働いたことが原因のようだが、いくらチェックを厳しくしても、一個人の不正行為を完全に防止し、欠陥をゼロにすることは不可能に近いのではないか。
恐らく今後も、建て替えが必要になるケースは稀かもしれないが、欠陥マンションは出てくるだろうし、既存のマンションで欠陥のある建物も当然あるだろう。
そうしたマンションが出てきたときに、デベロッパーが大手なら手厚く対応できるが、中小ならそうはいかない、というのは購入者にとってはたまらないし、大手にしても、欠陥マンションが相次いだり、施工業者が破綻するなどで補償金額を負担させられなかったりしたら、対応しきれるとは限らない。
平成21年に住宅瑕疵担保責任履行法が施行され、売主側が破綻しても10年間の瑕疵保証責任が履行されるよう、売主には保険への加入か保証金の供託が義務づけられている。
だが今回のように、マンションの補修ではなく、建て替えが必要になる(可能性がある)ケースで、この法律による制度で十分なのかどうか。
また、売主が瑕疵保証責任を負う10年間が経過した後に建物が傾くなど住み続けるのが危険になり、その原因が売主側も知らなかった下請けでの不正行為によるものだった場合、売主側には補償する義務は負わない(補修や建て替えにかかる費用を支払う義務はない)はず。
住民としては当然補償を求めるだろうが、売主がそれを拒否した場合、住民は訴訟を起こして勝たないと一切補償を受けられないのか。
このあたりはぜひ新聞などにも分かりやすく報道して欲しい。
今回の件では、マンション購入のリスクを改めて感じたが、かといって戸建てが安心かというと、当然戸建てでも不正・欠陥はあり得る。
そうしたときに、個人として売主側と対峙するのと、マンション住民全体で対峙するのとでは全然違うように思う。
個人的には、都心部でちゃんとした戸建てを買うだけの資金があるわけでもないし、マンションの利便性も捨てがたいし、やはり購入するならマンションの方が考えやすい。
結局のところどうすればいいかとなると、とにかくバブル期の物件は避けてマンションを選ぶ、ということぐらいしか思いつかない。
タグ:欠陥工事・施工ミス