それも1戸や2戸ではなく、販売戸数は18戸。
総戸数は37戸しかないので、全体の半分近くが売り出されていることになる。
もうとっくに完成して引き渡されているものだと思っていたが、物件概要欄を見ると、竣工は平成27年8月(竣工済)、引き渡しは平成28年2月上旬、と書かれている。
2年前に自分が資料請求した時点では、竣工は平成27年1月下旬予定、入居は同2月下旬予定と書かれていたので、竣工は7ヶ月遅れ、入居は約1年遅れということになる。
一体何が起きたのかと思い、マンション掲示板を見てみると、工事が中断してスケジュールが大幅変更になった、ということのようだった。
なぜ工事が中断したのか?
正確な情報なのかはよく分からなかったが、開発行為となる(=セットバックなどの規制対象となる=建物面積が削られてしまう)のを回避するため、通常の面積測定法ではなく、別の測定法で建築許可申請を出したことについて、反対派住民から港区に指摘があり、港区初の建築許可執行停止処分(建築確認処分の執行停止?)になった、ということのようだった。
2年前と今とで物件概要欄を見比べてみると、建築確認番号が変わっている(第H25普及協会00074号(平成25年7月8日付)→第H25普及協会03074号(平成26年5月30日付))し、建築面積も904.40uから901.22uに、延べ床面積も4,247.80uから4,211.01uに減っている。
(ただし、建築面積・延べ床面積は少なくとも昨年5月時点で現在と同じ面積に変更になっていたもよう。そのときの建築確認番号は、第H25普及協会02074号(平成26年3月19日付)。)
限られた土地・容積に最大限の建物を建てようとして、そのような小細工に走ったのだろう。
肝心の価格はどうなったのか。
残念ながら昨年分譲時の価格を記録していなかったが、2014年5月に送られて来たメールでは、先着順受付住戸として
□ER-type 77.38u 3LDK+SIC 11,400万円【最上階・南向き住戸】
□H-type 89.12u 3LDK 14,850万円【南西角住戸】
□K-type 96.18u 3LDK 19,450万円【最上階・南西角住戸】
が紹介されていた。
今月販売される18戸については、専有面積58.98〜108.97uに対し、8,070〜22,280万円となっている。
比較しづらいが、掲示板の書き込みでは、昨年の価格より1割ほど高くなっているとのこと。
ただ、工事中断、それも港区初の建築許可執行停止処分という悪評が付いた上に、マンションそのものは何も変わっていないとなれば、いくらマンション市場の相場が上がっているとはいえ、買う側としては検討しづらい。
もっとも、売主である積水ハウスの立場に立って考えれば、今あるリソース(限られた面積の土地)を使って最大の利益を上げようとするのは当然のことだし、かさんだコスト(工事中断によるコストや反対派住民対策など?)を売価に転嫁するのもおかしなことではない。
問題は、短期的利益のためには手段を選ばず、というような姿勢に見えるところだと思う。
中長期的に考えれば、小手先のテクニックを使い、無理矢理、めいっぱいの建物を建てるよりも、余裕を持って作った方がマンションの評判も良くなり、同社の利益になると思うが、そういう発想はないのだろうか。
グランドメゾン白金レジデンスに限らず、港区のマンションで積水ハウスと言えば、最近は良くない話が多い。
少し前には、グランドメゾン白金台で、雨水がバルコニーから室内に流れ込んで室内が水浸しになる、というトラブルがメディアに報じられた。
昨年は、グランドメゾン白金の杜 ザ・タワーで、鉄筋不足の工事ミスが発覚している(建設中ということで是正工事で事なきを得た?ようだが、完成後だったら、施行の大成建設は旭化成建材の件と同様の騒動になり得たのではないか)。
そして、マンション掲示板では、グランドメゾン白金でも大規模な漏水事故があり、修繕工事をしたと書かれている。
マンションを数多く手がけている大手デベロッパーであれば、その中でいくつかトラブルになる物件があるのは不思議なことではない。
ただ、同じ積水ハウスのグランドメゾンシリーズが、白金エリアだけでこれだけ立て続けに問題が起きているとなると、それは単なる偶然ではなく、何か問題があるということだろう。
積水ハウスについては、以前日経新聞で同社の社長か役員の記事(「私の履歴書」だったか、「私の課長時代」だったか、その類の記事)を読み、売り上げるためには何でもするというような、強引な姿勢を感じた記憶がある。
元々高額なマンションが多く、個人的には手が出せず縁の無い話ではあるが、仮に今後予算ができたとしても、積水ハウスのマンションだけは避けるようにしたい。